このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年08月30日
セマンティックWebの時代の企画力・編集力
マーケティングユニット 棚橋
前回は、「セマンティックWebの可能性」と題して、コンテンツ内容に関する情報をメタデータとしてWebページに持たせることで、コンピュータが意味的にその内容を理解できるようにするセマンティックWebの技術に関して、取り上げました。
同時に、セマンティックWebの技術の限界として、セマンティック(意味論的)であるという場合の「意味」が、人は規則に「私的に」従うことはできないという反-私的言語論を含む「意味の使用説」に従うものであり、それゆえ、すでに現実世界において共通の規則として用いられる「意味=規則」を対象にすることでしか有効に活用することはむずかしいということにも触れました。
ようするにセマンティックWebが実現するのは、より精度の高い検索性であり、決して、人の代わりに答えを導き出してくれるような人工知能的リコメンド機能ではないということです。
さて、そうであれば、なおさら、今後のWebコミュニケーションに必要になってくるのは、コンピュータの代わりに、人に対する答えを導き出すリコメンド機能としてのマーケティング企画力・コンテンツ編集力になるのではないかと思います。
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2005年08月26日
セマンティックWebの可能性
マーケティングユニット 棚橋
セマンティックWebとは、コンテンツの内容に関する情報をメタデータとして、Webページ(HTML)に持たせることで、コンピュータがその内容を意味的に(セマンティックに)理解できるようにし、情報を自動的に処理できるようにする技術を指します。
セマンティックWebの実現により、精度の高い検索が可能になり、ユーザーがWeb上の情報をより有効に利用できるようになると言われています。
現在のところ、セマンティックWebにおける主要な構成要素として想定されているのは、XML技術をベースにしたRDF (Resource Description Framework)とオントロジー言語OWL (Web Ontology Language) です。
RDFは、主語(Subject)と述語(Predicate)、そして述語の目的語(Object:Predicateの値)の3つにより、リソースの関係を表現します。
例えば、
マーケティングBlogは、ミツエーリンクスが更新している。
という文は、
<rdf:Statement>
<rdf:subject rdf:resource="#MarketingBlog"/>
<rdf:predicate rdf:resource="#Update"/>
<rdf:object rdf:resource="#Mitsue-Links"/>
</rdf:Statement>
という形で記述できます。
一方のオントロジー(Ontology)とは、元々はアリストテレス以来の「存在論」を指す哲学用語で、セマンティックWebにおいては語彙(=クラスまたは個物)と語彙の間の関係を表わすものとして使われます。
Webオントロジー言語OWLは、RDFによるリソースの叙述という基本ツールを用いて、Webに存在する物事の分類体系(クラス)と分類体系間の関係を推論するためのルールを定義する言語として、2004年2月にW3C勧告となっています。
こうしたセマンティックWebの実現に向けた動きは、ある意味、世界共通のデータベースを構築する発想に近いと思います。
それにともなう形で、Webサイトの設計に際しても、より一層データベース設計的なスキルが求められるようになってくるものと思われます。
以前(「データの正規化と情報設計」)にも書きましたが、すでにその兆候はあり、Blogツールの流行、RDFの応用であるRSS(RDF Site Summary)配信などで、Webサイトの情報設計のシーンでデータベース設計的なスキルが求められるケースは増えてきています。
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2005年08月23日
問い合わせ件数を増やす
マーケティングユニット 棚橋
特に直販型の営業を行なっているB2B企業にとって、Webサイト経由のお問い合わせを増やすことは、新規顧客を増やすための非常に重要なマーケティング活動のひとつです。
Webサイト経由のお問い合わせを増やすには、以下の3つのポイントがあります。
もちろん、こうした条件は、実際のビジネス同様、一夜にして築けるものではなく、継続的な改善が必要不可欠です(つまりサイト・リニューアルというスポット的な改善ではダメだということです)。
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2005年08月19日
マンガの国のWebデザイン
マーケティングユニット 棚橋
Webサイトの評価として「字が多すぎる」、「ユーザーは字が多いと読まない」といった評価を耳にすることがよくあります。
もちろん、例外もありますが、大抵の場合、実際には「字が多い」というより絵や写真などの画像イメージが少なかったり、画像が少ないために読みたくなる魅力に欠けるというのが真の問題だったりします。
ようするに、読みづらい、読む気にならないというのが問題であって、実際の文字量は度を越したものでもない限りは問題の本質ではありません。
さて、こうした評価を耳にして思うのは、「字が多い」というWebサイトに対する評価は、まさに日本ならではなんだろうということです。
実際、海外のサイトを見ると、比べものにならないくらいテキスト主導です。
説明的に図版が使用されることはあっても、本文中に装飾的な意味での画像が使われるケースはあまり見かけません。
Webデザインの書籍などを見ても、Flashなどでユーザーエクスペリエンスを高めたコンテンツの有効性などが取り上げられることはあっても、本文中に装飾的な画像イメージを適切に配置することがユーザーの満足度を高めるといったことが取り上げられることはありません。
一方で、日本的な観点でテキスト中心の海外サイトを見ると、やはり「文字が多い」という感想を抱く方が多いはずです。
日本的な観点では、やはり適度に本文内にも装飾的な画像(たとえ、それが見出しへのちょっとした装飾であっても)が使われていたほうが親しみや魅力を感じやすいのは確かなのでしょう。
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2005年08月16日
Web戦略に基づくスコープの決定
マーケティングユニット 棚橋
前回は「Web標準化時代のWeb制作ワークフロー」と題して、これまでのWebデザインがいかにビジュアル重視であり、そのためにユーザビリティや検索エンジン最適化(SEO)などの当たり前のことを犠牲にしてきたかについて考えました。
また、Web標準をベースにした新しいワークフローの確立により、本来的な意味で情報とビジュアルを等価に扱うことが可能なWebデザイン手法をもたらし、それにより、これまで特別な課題として扱われがちであったユーザビリティや検索エンジン最適化に関してもWebデザインの基本要素として設計過程に盛り込むことが容易になる点にも触れました。
こうした設計過程の革新による利点はもう1つあります。
それは設計段階の前工程である、Web戦略の立案~アクションプラン(スコープ)の作成段階の意図が、完成されたWebサイトにこれまで以上に反映されやすくなるという点です。
これまでのWeb構築において、戦略策定段階~スコープ決定段階の意図を正確に設計段階へと反映させることは、なかなかむずかしいことでした。
何故なら、戦略策定段階~スコープ決定段階と設計段階に共通する言語が存在しなかったからです。
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2005年08月12日
Web標準化時代のWeb制作ワークフロー
マーケティングユニット 棚橋
Blogの流行やアクセシビリティ配慮への意識の高まりなどの後押しもあり、現在、Web構築に関する流れは、Web標準に向かっています。
Web標準とは、その名前のとおり、Webサイトの制作、運用に変わる技術の標準化を行ったもので、主な策定組織としては、W3C(World Wide Web Consortium) やISO(International Organization for Standardization) が挙げられます(参考:Web標準の策定組織)。
最近、Webに関わる人たちの間で話題になっているのは、大きくWeb標準と呼ばれるものの内、Webコンテンツの実装に必要とされるマークアップ言語(=(X)HTML)とスタイルシート(=CSS)を主として扱った狭義のWeb標準だと思います。
Web標準に関しての詳しい情報は、弊社、木達が担当しているWeb標準Blogをご参考にしていただくとして、ここでは、Web標準化時代におけるWeb制作現場でのワークフローの変化について、考えてみたいと思います。
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2005年08月09日
効率化 その目的と手段
マーケティングユニット 棚橋
ビジネスにおいて誤解されがちなキーワードの1つに効率化があります。
例えば、効率化の1つとしてのコスト削減。本来的にはコスト削減は、ポートフォリオ・マトリックス(あるいは「成長/市場シェア・マトリクス」)における「金の成る木」(場合によっては「負け犬」も含む)の利益率の向上などを目的として行う手段の1つです。
しかし、よくありがちなことで、手段がいつの間にか目的となってしまい、コスト削減だけが一人歩きしてしまい、本来なら拡大/育成の位置づけにある「スター」になる可能性のある「問題児」の商品・サービスが必要とするコストまでが削減されてしまい、みすみす機会を失うということも少なくありません。
こうしたケースのみならず、効率化という業務命令は時に現場での誤解を招きがちで、正しく目的(例えば、効率化によって利益率と売上額の双方の向上を実現など)を伝えなければ、単に効率化の対象となる人件費コストや仕入れコストなどの数字だけが小さくすることだけが目的となってしまい、結果、売上額まで下がった、顧客を失ったということにもなりかねません。
こうしたことはWebマーケティングにおける効率化にも言えることです。
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2005年08月05日
新規顧客獲得のための営業ツール
マーケティングユニット 棚橋
最近、新規顧客の開拓にWebサイトを活用するにはどうすればよいか? 実際のうちのWebサイトはどこが問題なのか診断してほしい、といったご相談、ご依頼を数多く受けるようになってきました。
もちろん、そういったお話自体は以前からあったのですが、最近はRFPにおいても「新規顧客獲得のための営業ツールとしてのWebサイト」という点に非常に重点が置かれることが多くなってきています。
また、最近、書店でも『その営業はもう、ホームページにまかせなさい』(翔泳社刊)といったタイトルの本が売られているのも見かけましたし(残念ながら、読んでいません)、実際、弊社自体、数年前から自社Webサイトからのお問い合わせにより、新規顧客の開拓を積極的に行っています。
お客様のご相談、ご依頼を受けた際にも、自社で培ってきた豊富なノウハウ、方法論がありますので、それをベースにしながら、お客様の業界動向やビジネスモデルをお聞きしたり、実際のWebサイトの診断をアクセスログ解析や競合サイト調査などを行ったりすることで、お客様の求める「新規顧客獲得のための営業ツールとしてのWebサイト」を実現するための具体的なアクションプランのご提示、プランの実行などをお手伝いすることができます。
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2005年08月02日
ロングテール現象
マーケティングユニット 棚橋
ロングテール現象という言葉を最近、知りました。
昨年の秋頃から少しずつ米国で使われるようになった言葉のようで、単体では売上額の少ない商品でも、そういった商品が数多く集まったり、長い期間売り続けることによって、全体の売上額は結構な額になるといった現象を示すそうです。
簡単に言ってしまえば「塵も積もれば山となる」ということで、印象としては、これまでマーケティングの分野で参照されることの多かったパレートの法則(2:8の法則)と同じくパレート図で表される傾向を捉えながら、まったく正反対の戦略をとることの有効性を指摘したものです。
ご存知のとおり、パレートの法則が、パレート図で示されるような、全商品の20%が80%の売上を作る、全顧客の20%が全体売上の80%を占めるといった傾向を元に、ABC分析などの手法を用いつつ、「売上上位20%の商品(あるいは顧客)に集中せよ」といった戦略を示唆するのに対して、ロングテール現象はまさにその反対に「売上下位の80%の商品の売上も馬鹿にならない」ことを指摘することで新しい戦略の可能性を示唆しています。