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実践!Webマーケティング:Blog

このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2005年09月30日

MECEとは

マーケティングユニット 棚橋

MECE(ミッシー)とは、"Mutually Exclusive collectively Exhaustive"の略で、「モレもなくダブリもない」集合の概念です。
MECEは、ビジネスにおける問題発見、問題解決を行う上で非常に重要な考え方です。

モレがあれば、重要な販売チャネルやターゲットの見落としなどという形で機会損失が発生したり、最初のインプットから最終のアウトプットまでのプロセスで1つのタスクがモレていたりすればスケジュール、納期の遅延にもつながります。
また、逆にダブリがあると、同じ営業マンが同一の顧客に別々に訪問してしまったり、社内で別々に同じような新商品を開発してしまったりと非効率が発生することにもつながります。

そうした意味でMECEであるかどうかを考えることはビジネスにおいては重要なことです。

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2005年09月27日

問題発見が問題解決のカギ

マーケティングユニット 棚橋

問題とは「あるべき姿」「現状の事実」とのギャップにあります。

Webコンサルティングを行う場合も、この「あるべき姿」と「現状の事実」を明確にすることが問題の抽出~解決策の提示のために重要なプロセスとなります。
ここで正しくギャップの明確化が図られなければどんな解決策を導き出しても成果は得られません。
問題の設定が間違えれば正しい答えが得られるはずもないからです。

しかし、この「あるべき姿」を明確にするというのが意外とむずかしい。
Webサイトの目的を明確にすればいいだけですが、当然、Web戦略は企業戦略~事業戦略に基づくものである必要がありますから、Webサイトの目的を明確にしようとすれば、どうしても、企業戦略~事業戦略の側に遡らなくてはならなくなります。

そうなると、単にWebサイトの目的を明確にするという作業が途端にむずかしくなります。
理由は企業戦略、事業戦略が明確になっていない場合が多いからです。
企業の目的や事業の目的も、売上目標や利益目標という数値にはなっていても、その数値をどうやって達成するのかという戦略が見えない場合が多くあります。

Webサイトは企業の縮図と言われますが、そのように企業戦略~事業戦略が不明瞭だと、それがそのままWebサイトにも戦略のないどっちつかずな状態として現れます。
企業戦略や事業戦略がしっかりしている企業のWebサイトが優れたものになるとは限りませんが、企業戦略、事業戦略がしっかりしていない企業のWebサイトが優れたものになる可能性は皆無です。
ここで「優れたもの」と言っているのは、企業価値、事業価値を高め、市場浸透、顧客関係性の向上に役立ち、ビジネス的成果をもたらすWebサイトという意味です。

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2005年09月23日

アートの力

マーケティングユニット 棚橋

いま、あるアーティスト関連のWebサイトのアクセスログ解析のお手伝いをさせていただいているのですが、解析結果の数字を見てびっくりしています。
とにかく1訪問者あたりの閲覧ページ数が非常に多い。一般的な企業サイトなら3~10ページくらいに落ち着くのですが、そのサイトの数字はそれとは比べ物にならないほど多いのです。機密保持上、具体的な数字はここでは紹介できませんが、正直、これだけの数字は見たことがありません。
同じ商品購入目的のWebサイトと比較しても、1訪問あたりの閲覧ページ数は倍以上あります。
Flashを利用していることで、アクセスログがカウント不可能な部分も含まれることを考えると、その数字は驚嘆に値します。

かといって、そのサイトのユーザビリティがよいかというとそうでもなく、ユーザー導線設計にも課題がないわけではありません。
そのサイトでの売上金額を聞いたときもびっくりしましたが、なるほど、これだけ熱心に見られていれば、それだけ売れても当然かもと思いました。

こうした数字(アクセス数、売上額)を出せる要因は、もちろん、こまめに新しい商品を出したり、メールマガジンでも丁寧にユーザーとコミュニケーションをとっていたりと、きちんと努力をしている結果もありますし、商品そのものの魅力もあるでしょう。
ただ、もうひとつ忘れてはいけない要因が、そのサイトのビジュアルによるおもてなし感です。
とにかく、見ていて楽しい商品写真が満載で気がつくと、何ページも見てしまっていたりします。
並のレベルのデザインではなかなかこうはいきません。
質の高いオリジナル感あふれるクリエイティビティが展開されてこそ、ビジュアルで数字がつくれるんだろうなと思います。
あらためてアートの力を実感せざるを得ません。

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2005年09月20日

戦略の本質とリーダーシップの本質

マーケティングユニット 棚橋

いま『戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ』(野中郁次郎ほか著、日本経済新聞社刊)という本を読んでいます。
「勝利を導き出す戦略に共通性はありうるのか」を問題意識として持ち、「戦略の本質が最も顕在化するのは逆転現象ではないか」という仮説をもとに、戦史の事例として、毛沢東の反「包囲討伐」戦、バトル・オブ・ブリテン、スターリングラードの戦い、朝鮮戦争、第四次中東戦争、ベトナム戦争の20世紀に起こった6つの戦争を考察を通じて、戦略の本質を突き詰めようと試みられた内容となっています。

著書らはこうした戦史における逆転を可能にした戦略を考察することで、軍事の領域を超えて、一般的にも適用されるようになった(「主体と主体の相互作用によって構成される社会現象のすべてをカバーしている」)戦略の本質を洞察するとともに、「戦略を左右し、逆転を生み出す鍵はリーダーの信念や資質にあるのではないか」という仮説に基づき、リーダーシップの本質の洞察を試みています。

著者らは、社会現象ともなった戦略現象を「主体間の相互行為(作用)の因果連鎖として展開する」ものとして捉えています。
その上で、
「主体の主体たるゆえんは、その行為の意図性、目的性にある。戦略性、つまり戦略的であるということは、相手の出方に応じてこちらの出方を変えることであり、こちらの出方に応じて相手の出方が変わることである。主体としての自分の行為が、自分以外の主体の行為と相互作用を営むことを意味する」
と論じています。

つまり、戦略的であるためには、単に自分の側からのみ勝つための(あるいは負けないための、ようするに行為の意図、目的達成のための)方向性や手段を論じるだけではダメで、実際の戦術の実行、施策の実行を通じて反作用と現れる対象(戦争においてであれば敵、マーケティングにおいてであれば市場、ターゲット顧客)の出方も視野に入れつつ、行為の意図、目的達成のための戦術の方向性や手段をコントロールする必要があるということです。

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2005年09月16日

仮説づくりとマーケティング・メソッド

マーケティングユニット 棚橋

マーケティング戦略を策定・実行するにあたって明確で尖った初期仮説やコンセプトがないと、実行段階のメッセージやターゲットにブレが生じてしまうことがよくあります。

仮説とは市場をそしてターゲットになりうる顧客をどう捉えるかという視点とそこから見えてくる景色にほかなりません。
仮説づくりの段階で、どういう視点から市場および顧客を捉えたかという点が不明瞭であれば、実行段階で必ず出てくる異なる立場の異なる視点による意見に対して明確な対応ができなくなります。
しいては、実行されるプランが戦略を欠いた場当たり的でインパクトに欠けたものになりかねないでしょう。

人の思考というのは、人それぞれの立ち位置によって大きく異なります。
それぞれの人が向いている方向が見えてくる景色は違います。
マーケティング施策の実行においては、それこそ多くの立場が異なる人が関わりますので、当然、それぞれの人が見ているもの、考えている方向性は異なります。
だからこそ、はじめの仮説づくりにおいて、マーケティング戦略がどういう視点によって市場やターゲットを見ているのかを明確に示し、実行に関わる人のコンセンサスがとりやすい状況をつくりだすことが重要なのです。

前回、「マインドマップ ~階層構造で考える~」と題して、人の脳の連想過程とマインドマップで描かれる図表の類似性について触れました。
マインドマップが中心となる出発点の次に連想される第1階層に何が置かれるかによって出来上がるマインドマップが語るストーリーが大きく異なるように、人の脳も視点の変化で最初にどういう切り口を重視するかによって、そこから展開される思考の全体像は大きく変わってきます。

それほど、視点の位置というのは重要であり、仮説づくりの段階では、はじめからひとつの視点に凝り固まるのではなく、さまざまな視点から見える風景を見てみた上で最も尖って見える景色、視点を採用することが重要です。

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2005年09月13日

マインドマップ ~階層構造で考える~

マーケティングユニット 棚橋

最近、頭の整理や、新規で立ち上げるWebサイトの最初のサイト構成案の構想、連載コンテンツの内容の整理を行う際に、FreeMindというマインドマップ作成用のフリーウェアを使っています。

マインドマップとは、1970代のはじめにイギリスのトニー・ブザン氏によって開発された「記憶」「発想」「連想」技法で、頭の中にある考えやアイデアをビジュアル的に構造化していくことで明確にしていくノート法です。
マインドマップは、まず最初に中心にテーマを置き、そこから放射線状に、情報を膨らませていくところに特徴があります。

マインドマップ作成のためのツールとしては、FreeMindの他にも、MindManagerJUDEなどがあります。

さて、先に私自身が頭の整理だけでなく、サイト構成案の作成や連載コンテンツの構成などに利用していると書いたとおり、マインドマップの応用法はいくらでもあります。

実際、先に紹介したJUDEなどは、本来、Javaなどのオブジェクト指向のアプリケーション開発に使われるUML(Unified Modeling Language)のモデリング用に開発されたもののようです。

そもそも、マインドマップは、文章のような直線的な思考としてではなく、物事を次々に連想しながら放射状に展開していく人間の脳の働きに沿ったノート法とも言われるくらいで、普段、私たちが頭で考えられる範囲であれば、何にでも応用可能なのは当たり前なのかもしれません。

また、物事を論理的に、かつMECE(モレなくダブリなく)に考えるためには、頭の中だけで考えてもなかなかうまくいかないはずで、自分の考えをビジュアル的に論理的階層(関係性)も交えて表現しながら、頭を整理するほうがより効率的で効果的でしょう。
以前に紹介した特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)も、5M+1Eを最初の階層として捉えたマインドマップの応用であるともいえ、それがある特性(発生している問題、課題etc.)に対して、影響を及ぼすと考えられる要因との関連を整理、体系的にまとめる手法として有効なのも考えてみれば当然かもしれません。

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2005年09月09日

ユーザーインターフェイス設計だけではWebユーザビリティは向上しない

マーケティングユニット 棚橋

前々回の「カタログと目録 ~売買の場における情報デザイン、ユーザビリティ~」でもすこし触れましたが、Webユーザビリティを向上させるためには、単に見た目のデザインに工夫を加えたところでどうにもならないことが多々あります。
というのも、Webサイトにおいてユーザー行動(その使い勝手)に影響を与える要素は、単にユーザーインターフェイスのデザインだけではなく、掲載される情報内容や情報内容の対象(例えば記載されている商品そのものだったり、Webサービスであればサービスそのもの仕様)、情報の記述形式、情報のカテゴライズの仕方(分類概念のユーザー行動、心理との適合性)、情報の有無や優先性などの情報設計や、そもそもの利用者と想定されるユーザーの理解、情報発信主体である企業の事業理解、企業が競争をし、ユーザーが比較対象とする競合他社のひしめく市場理解など、ユーザーインターフェイスのデザインに先立って決定・設計を行っておくべき要素が数多く含まれているからです。

したがって、Webサイトのユーザビリティ設計を行う際には、最低でも以下の手順が必要となります(マーケティング目的をもった企業サイトの場合)。

つまり、通常、ユーザビリティ改善のために行っているユーザーインターフェイス設計というプロセスの前に、5つのプロセスが必要であり、こうしたプロセスを踏まない限りは真のユーザビリティは達成されないというわけです。
すなわち、ここでのユーザビリティ設計の定義は、単に最終アウトプットとして目に見える形のユーザーインターフェイス(フロントエンド・デザイン)を対象にしているのではなく、ユーザビリティ実現のための大前提となる企業とそのターゲットユーザーに関する理解、Webサイトの具体的な目的の明確化と達成のための戦略策定、戦術としてのコンテンツ企画と個々のコンテンツのアウトライン化(階層構造化)を経た情報設計など、いわゆる上流設計にあたるすべてを含んでいます

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2005年09月06日

アートマーケットとイノベーター理論

マーケティングユニット 棚橋

前回の記事では、「カタログと目録 ~売買の場における情報デザイン、ユーザビリティ~」と題し、島本浣氏の書いた『美術カタログ論 記録・記憶・言説』(三元社刊)を参照しながら、美術カタログの歴史の中での分類概念、記述形式を追うことで、Webデザインにおける情報デザインやユーザビリティに関して、あらためて考え直してみました。
その中で、美術カタログの変遷が、18世紀に確立されたブルジョワジーという一般市民を中心としたアートマーケット、あるいは、そうしたアートマーケット自体を可能にした買い手としての美術愛好家の誕生、美術愛好という趣味の確立と表裏一体で進んだことには、弊社Webサイトのコラム「Webサイトにおける情報設計と情報のアーカイブ」のほうで触れました。

こうした歴史を見ると、アートマーケットという18世紀に開かれた新しい市場において、それ以前の王侯貴族やほんの一部の大富豪の間で、博物学的な趣味の一部としてコレクションの対象となっていた絵画が、17世紀から18世紀にかけて大都市を中心に形作られた貨幣を中心とした市場経済の中で、歴史に新しく登場した富裕層(=ブルジョワジー)の間で、ひとつの投機対象としての商品あるいは愛好の対象としての商品として、オークション=競りによる公的売立てという開かれた市場で活発な取引が行われるようになるプロセスに、市場においてまさにイノベーター理論の展開される様子が見て取れるのも、先の本で非常に興味をもった点です。

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2005年09月02日

カタログと目録 ~売買の場における情報デザイン、ユーザビリティ~

マーケティングユニット 棚橋

弊社Webサイトのコラムのほうでも「Webサイトにおける情報設計と情報のアーカイブ」と題して取り上げましたが、いま、読んでいる『美術カタログ論 記録・記憶・言説』(島本浣著、三元社刊)という本は、情報デザインとWebマーケティングやWebブランディングの関係を考える上で非常に興味深い本です。

いろいろ興味をひかれたことがあるのですが、その1つにカタログと目録の違いがあります。

著者の島本氏は、カタログの出自を財産目録に見出し、「目録は個人や集団の所有財を記録・記憶として表象するものだが、それだけでなく、財の集中する場-昔であれば王侯や貴族、近代では資本家や国家がすぐに想起されるが-の権力や趣味の一覧表ともなる」と記述した上で、「十七世紀になると、相続者が何らかの理由で個人の財産を売りにだす際に、財産目録は印刷されるようになってくる。このとき、目録はカタログとなる」と述べています。
つまり、財産目録がカタログになる瞬間、そこには財産を通商する市場(例えば、オークション=競売会)=買い手の存在が想定されるわけで、中身(リスト)の記述の形式についても、内輪(財産の継承者、財産継承を管理する役人など)を意識したものから、基本的には万人を対象としたオークションでの買い手を意識したものへと変化します。

島本氏は、このカタログと目録の違いについて、「カタログは数え上げることを本質とする目録と違って、分類と作品(あるいは商品)の記述、そして表象を本質とする一覧表(リスト)である」と述べています。
実際、競売カタログが17世紀に登場し、18世紀にある程度の標準化が確立されていく中で、商品である作品を表象する記録の方式は、作家のアルファベット順の分類や作品の流派別分類、作品のタイトル、作者名、絵の大きさ、描かれているイメージなどの記述に関して、様々な試行錯誤が行われたようです。
これは売買の場において、商品が最もよく売れるためのマーケティング・コミュニケーションを情報デザインという観点から考え、1つの標準化が試みられた好事例であると思います。
そして、こうした試みにより1つの標準形が確立された競売カタログ(オークション・カタログ)の情報デザインは、後に写真による作品の図版などが付加されることはあっても、基本的には現在にも引き継がれているという意味で、データの正規化もしっかりしているはずで、オークションを中心としたアートマーケットにおけるインデックス(市場全体の動きを示す指標化や指数化)化も容易な形式となっているのではないかと思われます。

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