このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年09月13日
マインドマップ ~階層構造で考える~
マーケティングユニット 棚橋
最近、頭の整理や、新規で立ち上げるWebサイトの最初のサイト構成案の構想、連載コンテンツの内容の整理を行う際に、FreeMindというマインドマップ作成用のフリーウェアを使っています。
マインドマップとは、1970代のはじめにイギリスのトニー・ブザン氏によって開発された「記憶」「発想」「連想」技法で、頭の中にある考えやアイデアをビジュアル的に構造化していくことで明確にしていくノート法です。
マインドマップは、まず最初に中心にテーマを置き、そこから放射線状に、情報を膨らませていくところに特徴があります。
マインドマップ作成のためのツールとしては、FreeMindの他にも、MindManager、JUDEなどがあります。
さて、先に私自身が頭の整理だけでなく、サイト構成案の作成や連載コンテンツの構成などに利用していると書いたとおり、マインドマップの応用法はいくらでもあります。
実際、先に紹介したJUDEなどは、本来、Javaなどのオブジェクト指向のアプリケーション開発に使われるUML(Unified Modeling Language)のモデリング用に開発されたもののようです。
そもそも、マインドマップは、文章のような直線的な思考としてではなく、物事を次々に連想しながら放射状に展開していく人間の脳の働きに沿ったノート法とも言われるくらいで、普段、私たちが頭で考えられる範囲であれば、何にでも応用可能なのは当たり前なのかもしれません。
また、物事を論理的に、かつMECE(モレなくダブリなく)に考えるためには、頭の中だけで考えてもなかなかうまくいかないはずで、自分の考えをビジュアル的に論理的階層(関係性)も交えて表現しながら、頭を整理するほうがより効率的で効果的でしょう。
以前に紹介した特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)も、5M+1Eを最初の階層として捉えたマインドマップの応用であるともいえ、それがある特性(発生している問題、課題etc.)に対して、影響を及ぼすと考えられる要因との関連を整理、体系的にまとめる手法として有効なのも考えてみれば当然かもしれません。
さて、階層構造で物事を捉えられるようになった場合の利点ですが、1つには、ある課題に対して考えが行き詰まってしまったときなどに視点を一つ上の階層に切り替えることで解決の糸口が見えてきたりするようになるということが挙げられます。
例えば、SEO対策を考える場合にも、どうやったらキーワードの表示順位をもっと上げられるかということばかりに捕われてしまうのではなく、一つ上の階層に視点を移し、そもそもターゲットユーザーはどんな情報をどんなキーワードを使って検索しているのかと、よりマーケティング本来の視点で考えることで突破口が開けたりします。
さらにもう1つ階層を変えて、ターゲットユーザーを集めるWebマーケティング施策としてSEO対策と同時に行えることはないか、どうすれば具体的にターゲットユーザーを顧客化というマーケティング課題の解決にまでWebサイトを通じて導くことができるか、それにはいま何がボトルネックになってしまっているのかを考えることもできるでしょう。
また、階層構造で考えるということは、ある集合全体を、特定の視点でカテゴライズ(組織化)し、かつ、さらに小さな区分により構造化していくという意味で、集合全体にあるストーリーを生み出す効果があるとも言えます。
つまり、「特定の視点」がストーリーの語り部となり、それによって情報がきちんと階層構造化されていない状態よりも、集合全体が意味を持つものと成りえます。
Webサイトを構築するまずサイト全体をカテゴライズ(組織化)し、さらにドキュメント(ページ)ごとにタイトル、リード文、本文、参考情報などといった形で、情報をモジュール化(構造化)していくことも、同じような意味で、サイト全体に特定の視点によるストーリーを与えることになり、その情報の階層構造化がうまくいっていれば、それだけ情報の伝達度合いも高まると言えるでしょう。
また、Webサイト構築においては、情報の意味による階層構造化は、Web標準準拠で制作する場合のマークアップを決める際にも必要なことだと思います。
マインドマップを用いて、階層構造で物事を考えるメリットは他にもたくさんあるでしょう。
ぜひ、皆さんも一度、マインドマップによる情報整理、アイデア発想を試してみてはいかがでしょうか。
次回は、仮説づくりとマーケティング・メソッドと題してお送りします。