このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年12月27日
「最初のペンギン(first penguin)」 不確実性の海へ
マーケティングユニット 棚橋
お詫び
本エントリーにおいて、一部不適切な可能性のある文章がございました。
筆者が不在ということもあり、内容の確認ができないため、掲載を中止させていただきます。
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2005年12月22日
Web2.0 一般の企業サイトに与える影響
マーケティングユニット 棚橋
Web2.0というキーワードが現在、Web業界を中心に話題となっています。
このBlogの記事中でも何度かWeb2.0という言葉を使ってきたので、すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
それでも、一般の企業の方はあまり聞きなれないであろう、このWeb2.0という概念は、BlogやRSSをはじめ、ソーシャルネットーワーク、ロングテール、Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)など、いま、インターネット関連で話題となっているキーワードを結びつける概念として用いられています。
最初にWeb2.0という概念を提示したのは、Esther DysonともTim O’Reillyとも言われていますが、いまなお、Web2.0をきちんと定義づけているものはありません。
「Web2.0とは何か?」という議論はいまもリアル/ネット上を問わずさまざまなところで展開されており、2004年、2005年には「Web 2.0 Conference」というイベントも開催されていたりします。
こうした議論の中では、先に挙げたキーワードとともに、GoogleやNapsterなどのWebサービスを展開する企業や、オンライン百科事典のWikipedia、ソーシャル・ブックマークのdel.icio.us、写真共有サービスのFlickrなどのWebサービスが参照されています。
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2005年12月20日
ブランド・ハイジャック
マーケティングユニット 棚橋
『ブランド・ハイジャック マーケティングしないマーケティング』(アレックス・ウィッパーファース著、日経BP社刊)を読んでいます。
この本で扱われているブランド・ハイジャックという概念には、Web2.0的なBlogやソーシャル・ネットワーク、WikipediaなどのCGM(Consumer Generated Media)との同時代性を強く感じます。
「ブランド・ハイジャック」という概念を著者はこう定義しています。
消費者による乗っ取り。消費者がマーケティングのプロたちからブランドの指揮権を奪い、発展させていくこと。
このように紹介するとなにやら物騒な感じがします。
しかし「セレンディピタス・ハイジャック」という用語に関する次のような定義を参照するとすこし印象が変わるのではないでしょうか?
消費者がブランドの考え方、使い道、ペルソナ(個性)の主導権を握ってしまうこと。たいていは、ブランドの熱狂的ファンがサブカルチャーの世界で実現する。そして、多くの場合、マーケターはそれに対し、予想もしていないし、手の施しようもない。
この本では、ナップスター(Napster)が消費者が主導権を握ったブランドの例として取り上げられています。
ブランディング関連の本では、取り上げられることの多いハーレーダビッドソンのファンが身体にロゴのタトゥーを入れたりという話もこうした例の1つなのでしょう。
つまり、ブランドがハイジャックされるということは必ずしもブランドにとっては悪いことではなく、むしろ、それだけ熱狂的なファンに愛されているという意味で喜ぶべきことです。
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2005年12月16日
キーワード・ポートフォリオ
マーケティングユニット 棚橋
Yahoo!の検索結果での表示順位が安定しない、という声をよく聞きます。
○○というキーワードでSEO対策をしていたのに、ある日、突然、順位が下がって、訪問者が減ったという声です。
実際、Yahoo!の検索順位は変わりやすいのは確かです。
しかし、表示順位が変わるたびに、チューニングを行ったりするのは、あまり得策ではありません。
それでは、常に対策が後手に回ってしまい、イタチごっこになってしまいます。
むしろ、訪問者を減らさないためのリスク低減の対策は、特定のキーワードに頼るSEO対策そのものを見直すことです。
投資のノウハウの1つである分散投資では、リスク低減のために資金をバランスよく配分したポートフォリオを組みます。
手持ちの卵を1つのカゴに入れておくと、そのカゴを落としてしまえばすべて割れてしまう可能性が高くなりますが、いくつかのカゴに分けておけばたとえ1つのカゴを落としても残りの卵は安全です。
同じように、サイトの訪問者数を増やしていくためのSEO対策でも、特定のキーワード(1つのカゴ)に頼ることなく、はじめから複数のキーワード(いくつかのカゴ)による集客を行っておけば、Yahoo!などの表示順位の変化というリスクにも対応できます。
この考え方をキーワード・ポートフォリオと呼ぶことにしましょう。
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2005年12月13日
カスタマイズとモジュール化
マーケティングユニット 棚橋
製品やサービスをお客様に合わせてカスタマイズして提供する際、完全なオーダーメイド商品でない限り、モジュール化は避けて通れません。
Web構築・運用においても事情は同じで、各ページ単位でそれぞれデザイン要素を考えていたのでは、作業効率も悪くなりますし、トーン&マナーが統一されないため、ユーザーの使い勝手も悪くなってしまいます。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を使ったWebサイトでは、ページ単位でデザインを考えるのではなく、必要な構成要素を抽出した上で、各構成要素単位でデザイン・モジュールを作成しますが、そうした設計思想が有効なのは何もCMSを利用しているサイトに限ったことではないでしょう。
サイト全体で統一感のあるデザインを行う上では、デザイン要素のモジュール化が必要ですし、それによってページ制作作業の効率化やユーザビリティの向上を図ることができます。
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2005年12月09日
階層構造化と内容の理解しやすさ
マーケティングユニット 棚橋
Webサイトを構築する際、掲載するコンテンツ群をどうカテゴライズし、階層化するかは、Webユーザビリティを考える上で重要な要素となります。
また、各ページ単位でも同様に、大見出しにあたるページタイトルから順に、中見出し、小見出しという形で階層構造を考えると、ページ内で表現する内容が整理され、ユーザーにわかりやすくなります。
弊社で、Webサイトのユーザビリティの診断をさせていただく際は、
の8つの診断ポイントで調査を行っているが、
この項目のうち、最初の2つ(「情報の組織化」「情報の優先性」)は、まさにサイト単位、ページ単位での階層構造化がきちんと行われているかが診断のポイントとなります。
Webサイトの設計に限らず、情報を整理し、その全体感をわかりやすくするためには、階層構造化は代表的な手段だといえるでしょう。
そのことは、以前に紹介したマインドマップやロジックツリーなどの階層化のツールが、発想・アイデアの整理や問題点の抽出がMECEに行われているかをチェックするツールとして使われていることからも間違いないと思われます。
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2005年12月06日
もう1つの真実の瞬間
マーケティングユニット 棚橋
前回の記事(クオリア降臨)で「真実の瞬間(Moments Of Truth)」について触れました。
スカンジナビア航空元CEO、ヤン・カールソンは、顧客と直接接する最前線の従業員の最初の15秒の接客態度が、その航空会社の印象を決めるとして、サービスの改革を行い成功を収めました。
どんなに広告やWebサイトを使って、自社のイメージアップを図っても、現実のサービスレベルがそこで述べられているものと比べて見劣りすれば、「真実の瞬間」に触れた顧客のイメージは一瞬にして地に落ちてしまいます。
ブランディングの考え方の1つにコンタクトポイント戦略という考え方があるが、企業と顧客の接するポイントは無数にあり、そのすべてが「真実の瞬間」となりえます。
その無数のコンタクトポイントで、いかに顧客に対して一貫した姿勢で接することができるかで、ブランドの価値は変わってくるのでしょう。
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2005年12月02日
クオリア降臨
マーケティングユニット 棚橋
脳科学者で、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャーでもある茂木健一郎氏の著書『クオリア降臨』(文藝春秋刊)を読みました。
茂木氏は、心と脳の問題を探究している研究者だが、『クオリア降臨』で扱っているのは、「統計的な真理しか問題にしない現代科学からこぼれ落ちる広大な領域。個の生の主観的体験に寄り添う時に見えてくるもの。それこそが文学に固有の領域である」と一文にも代表されるように、クオリアという概念をキーとしてみた文学です。
クオリア(qualia)とは、最新の脳科学用語の1つで、私たちが日々の生活の中で感じる感覚を構成する「質感」をあらわす語なのだそうです。
ソニー製品のブランド名(QUALIA)にもなっていますが、これも茂木氏がソニーコンピュータサイエンス研究所のシニアリサーチャーを務めているからなのでしょう。
参考:クオリア・マニフェスト
最初にクオリアという単語を用いたのは、オーストラリアの哲学者フランク・ジャクソンで、1982年に発表した論文の中の「白黒の部屋の中のメアリー」という思考実験の中でクオリアという語を登場させているそうです。
メアリーは、生まれた時から白黒の部屋で1人で暮らし、白と黒以外の色は見たことがない(自分の肌や髪の色はどうかと疑問はあるが、ここでは問題にしない)。 メアリーは外の世界と情報回線でつながったコンピュータを通して、脳の中で色の認識が生み出されるメカニズムを完全に理解し、自分が色を見るということはどういうことかを理解していると確信している。 しかし、ある時、メアリーが住んでいた白黒の部屋が突然崩壊する。部屋の外は、色とりどりの花が咲くお花畑だった。その花を見て、メアリーははじめて「赤を見る」という体験がどんなものかを理解する。
このように、クオリアという視点ははじめから、世界を機能主義的にとらえる近代合理主義に対するアンチテーゼとして生まれたものであるそうで、茂木氏がこの本でクオリアの視点から文学を読んでいるのも自然なことのように感じました。