ミツエーリンクス

実践!Webマーケティング:Blog

Home > メソッド > 実践!Webマーケティング:Blog > もう1つの真実の瞬間

このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2005年12月06日

もう1つの真実の瞬間

マーケティングユニット 棚橋

前回の記事(クオリア降臨)で「真実の瞬間(Moments Of Truth)」について触れました。
スカンジナビア航空元CEO、ヤン・カールソンは、顧客と直接接する最前線の従業員の最初の15秒の接客態度が、その航空会社の印象を決めるとして、サービスの改革を行い成功を収めました。

どんなに広告やWebサイトを使って、自社のイメージアップを図っても、現実のサービスレベルがそこで述べられているものと比べて見劣りすれば、「真実の瞬間」に触れた顧客のイメージは一瞬にして地に落ちてしまいます。
ブランディングの考え方の1つにコンタクトポイント戦略という考え方があるが、企業と顧客の接するポイントは無数にあり、そのすべてが「真実の瞬間」となりえます。
その無数のコンタクトポイントで、いかに顧客に対して一貫した姿勢で接することができるかで、ブランドの価値は変わってくるのでしょう。

さて、前回紹介した茂木健一郎氏の『クオリア降臨』。
この本にも「真実の瞬間」という章があり、実は僕がこの本を購入したのも目次でそのワードを目にしたからでした。
(※自分では当たり前だと思っていたが、目次をみて本の購入を決めるのは、それほど一般的なことではないらしい。この話もちょっと面白いので、また次回取り上げてみたい)
しかし、実際に読んでみると、この本で取り上げられている「真実の瞬間」は先のそれとは異なる、もう1つの「真実の瞬間」でした。
もう1つの「真実の瞬間(La hora de la verdad)」は、スペイン語で、闘牛の最後に、闘牛士が牛にとどめを刺す時を表す言葉なのだそうだ。

茂木氏は、次のように述べています。

「真実の瞬間」は、必ずしもお互いに命をやりとりをする、というような現場においてのみ立ち現れるわけではない。お互いに大切に思う者同士の対面の現場において、魂が剥き出しにされる時にもそれが訪れることがある。そこにあるのは、愛などという甘美なものではない。闘牛士と闘牛の対峙に似た、直視することが憚られるような何かである。

それは普段、私たちが日常的に確実だと信じているものの仮面が崩壊して、人を不安にさせる不確実性が目の前に現れる瞬間だと捉えられそう。

例えば、ビジネスシーンを考えてみると、経営者が従業員の生活(毎月支払う給料)を考える時、そうした「真実の瞬間」が頭をもたげたりするのではないかと思います。
どんなに業績のよい大企業の経営者でも、それは同じだと聞いたことがあります。
いや、むしろ、企業規模が大きくなり、従業員数が多くなればなるほど、そうした不安は大きくなるのでしょう。

不確実なものに人は不安を感じます。
現実の生活に突如として現れる不確実さ。
企業にとっても今日ある市場が明日も存在するとは限りません。
昨日まであった市場が突然失われるという場面に出くわした時、企業も「真実の瞬間」に出会う。

その意味で「真実の瞬間」は、僕たちが気づかないだけで常にそこにあるのでしょう。
不確実なものに対する不安は個人だろうが、企業だろうが、それほど変わりません。
それに対処するには、いま確実だと思っているものがあくまで仮の確実さでしかないことを真摯に受け止めた上で、いかに不確実な明日を生きるかの準備をどれだけ事前にできているかに関わってくるでしょう。
もちろん、それでも不確実性は完全には拭えない(確実な答えはない)ということを念頭におきながら。

顧客が企業の真の姿に出会ってしまう"Moments Of Truth"。
企業が顧客の不在に出くわす"La hora de la verdad"。

ここにおいて、2つの「真実の瞬間」は重なるのではないでしょうか。

以前に「カタログと目録 ~売買の場における情報デザイン、ユーザビリティ~」という記事で『美術カタログ論 記録・記憶・言説』(島本浣著、三元社刊)という本を紹介した際もそう思ったのですが、たまにこんな風にビジネス書やWeb関連以外の本を読むほうが、ビジネスやWebについてのアイデアが浮かんでくるのは不思議です。

さて、次回は上でもすこし予告したとおり、本の目次を例にしながら「階層構造化と内容の理解しやすさ」の関係について考えてみたいと思います。

関連記事

コメント

コメントする













関連情報

この記事のトラックバックURL:
http://marketing.mitsue.co.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/87

バックナンバー

プライバシー&サイトポリシーCopyright (c) 2011 Mitsue-Links Co.,Ltd. All Rights Reserved.

Web制作、ホームページ作成、Flash制作:Webサイト構築、Webサイト運用:ブロードバンドコンテンツ(音声制作、動画制作):システム開発、Webマーケティング、Webブランディング、Webコンサルティング・・>のWeb Integrationならミツエーリンクスにお任せください。