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このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2005年12月13日

カスタマイズとモジュール化

マーケティングユニット 棚橋

製品やサービスをお客様に合わせてカスタマイズして提供する際、完全なオーダーメイド商品でない限り、モジュール化は避けて通れません。
Web構築・運用においても事情は同じで、各ページ単位でそれぞれデザイン要素を考えていたのでは、作業効率も悪くなりますし、トーン&マナーが統一されないため、ユーザーの使い勝手も悪くなってしまいます。

CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を使ったWebサイトでは、ページ単位でデザインを考えるのではなく、必要な構成要素を抽出した上で、各構成要素単位でデザイン・モジュールを作成しますが、そうした設計思想が有効なのは何もCMSを利用しているサイトに限ったことではないでしょう。
サイト全体で統一感のあるデザインを行う上では、デザイン要素のモジュール化が必要ですし、それによってページ制作作業の効率化やユーザビリティの向上を図ることができます。

とはいえ、実際には単にモジュール化しただけでは、お客様の要望に合わせたカスタマイズはできません。
モジュール化されたパーツの組み合わせにより、お客様の要望に合った全体としてのソリューションを提供するには、モジュールを組み合わせる仕組みが必要になります。
モジュール全体をロジックあるいはストーリーによって支える仕組みが必要になるのです。

前回の記事(「階層構造化と内容の理解しやすさ」)で指摘した階層構造化もその仕組みを構成する1つの手段となるでしょう。

例えば、3種類の見出しモジュールがあったとします。
その際、各モジュールに大見出し、中見出し、小見出しといった階層的な意味づけが行われていれば、少なくとも、小見出しが大見出しの前に使われるという混乱は生じなくなります。

また、同じように「現状の問題点」「改善案」「改善にかかるコスト」といったモジュールがあった場合、お客さんにわかりやすく説明しようとすれば、賢明な営業マンであればいきなり「改善にかかるコスト」から説明しようとはしないでしょう。

モジュール化はお客様のニーズに合わせてカスタマイズした価値を提供する際に必要なものですが、それだけではただのバラバラの要素でしかありません。
そのバラバラの要素をお客様に納得していただけるよう組み合わせる仕組み(適切かつ素敵なストーリー)こそが個々のモジュールの持つ意味を輝かせてくれるのだと思います。

デザイン・モジュールだけでなく、Webサイトの個々のコンテンツもある意味では、モジュールだと言えます。
また、企業のもつ個々の製品、サービスもある意味ではモジュールと呼べるのかもしれません。

マス・カスタマイゼーションの時代、お客様のニーズに合わせられるよう、コンテンツや商品をモジュール化することは避けられません。
しかし、お客様が求めているのは個々のコンテンツや商品ではなく、トータルなソリューションだったりします。
(どんなに素敵なネクタイ、スカートでも、それに合うスーツや上着が見つからなければ、お客様はそのネクタイやスカートを買ってくれないのではないでしょうか)
それゆえ、モジュール化されたコンテンツや商品を、お客様に最終的に満足してもらえるよう提供できるかは、お客様の要望に合わせていかにモジュールの組み合わせを提案できるかにかかってきます。

Webマーケティングでも、SEOもやったし、商品ページもわかりやすくした、具体的な活用イメージが伝わるようにユーザー事例も用意した、なのに、ユーザーからの問い合わせや資料請求が増えないということもあるかもしれません。
でも、そうした要素をつなげるユーザー導線がなかったり、コンテンツによる訴求のトーンに一貫性がなかったりすれば、どんなに個々のモジュールがよくできていても、結果に結びつかないということはあるでしょう。

むしろ、モジュール個々ではそれほど魅力はなくても、全体を通したストーリーが何でもない個々のモジュールを輝かせてくれることは多々あります。
お客様に合わせたカスタマイズを考える際には、そうしたストーリーの重要性をもう一度、考えてみる必要があるのではないでしょうか。

さて、次回はこのモジュール化によるユーザー個々へのカスタマイズした価値提供という考え方を踏まえたSEO対策の実践を行うための「キーワード・ポートフォリオ」という考え方をご紹介したいと思います。お楽しみに。

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