このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年11月01日
AIDMAの法則を活かした情報設計
マーケティングユニット 棚橋
AIDMAの法則は、アメリカのローランド・ホールが提唱した「消費行動」のプロセスに関する仮説です。
以前にも「AIDMAの法則をベースにしたユーザー導線の設計」と題して、Webサイト構築におけるAIDMAの法則の活用方法としてページ単位での情報設計への活用例をご紹介しましたが、今回は、このAIDMAの法則を用いて、サイト全体あるいは1コンテンツ群の情報設計を考える方法をご紹介したいと思います。
Webサイトの情報設計を行う際に、意外と迷ってしまうのが、グローバルナビゲーションやローカルナビゲーションの並び順だったりします。
また、グローバルナビゲーションに何を配置すべきかという問題も悩みの1つだったりします。
そんな時、役に立つのがAIDMAの法則です。
AIDMAの法則は消費行動プロセスの1モデルですので、Webサイトの情報設計に用いることで、ユーザーを導くストーリーを生み出すのに有効です。
弊社のWebサイトのグローバルナビゲーションも「サービス」「ソリューション」というユーザーに弊社がどんなことをやっている会社かを知っていただくコンテンツを左側に配置し、「メソッド」「ニュース」「実績紹介」などで、「サービス」「ソリューション」提供の背景となるノウハウ、取り組み、関係性としての実績を紹介し、一番右側の「お問い合わせ」で、ユーザーの方からの具体的なアクションを期待している、という流れを作っています。
もちろん、グローバルナビゲーションというWebサイト全体のストーリーを表現するものだけでなく、1つのコンテンツ・カテゴリーのメニューを表現するローカル・ナビゲーションでも同様の考え方で応用できるはずです。
AIDMAの法則をベースにして、ナビゲーションの順番を考えてみると、それまで悩んでいたコンテンツの配置順にすっきりとした答えが見出せたり、不足しているコンテンツが何かわかったりするので、不思議なものです。
情報設計において情報の並び順を決める軸になるものは、他にも、時系列やアルファベット順などがありますが、こうした軸が機械的であるのに対して、AIDMAの法則をベースにユーザーへの理解のためのストーリーを軸にすると、Webサイトの設計に意図を表現することができるのではないかと思います。
企業がWebサイトにおいて自社の意図するところを、ストーリー立ててわかりやすく表現するというプレゼンテーションは、ブランド・ポジショニングをユーザーに伝えるためにも有効な手段ではないでしょうか。
最近、読んだ『ブランドデザインが会社を救う!』(ボブ・スリーヴァ著、小学館刊)という本に、ブランド・デザインのために行うべき質問として、
の3つが紹介されていましたが、こうしたブランド・デザインの過程で導き出された意図を、Webサイトで表現する際にも、AIDMAの法則をベースにしたストーリー構築が役立つのではないかと思います。
『ブランドデザインが会社を救う!』という本は、ブランディングを考える際に非常に興味深い本でしたので、次回は「ものづくりとブランド」と題して、もう少し詳しく紹介してみたいと思います。お楽しみに。