このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2007年01月19日
アイトラッキングでみるユーザーの閲覧行動
マーケティングユニット 棚橋
先日、弊社でもアイトラッキング調査のためのシステムを導入しました。
アイトラッキングは、被験者の顔や眼球、角膜反射を赤外線で捕らえることで視線の動きを追跡する手法で、心理学や認知科学などの研究分野でも用いられている科学的な手法です。以前はそれこそ非常に専門的な研究室での使われていたツールでしたが、昨今ではWebの分野においても、Webサイトのユーザビリティ評価や広告およびコンテンツの評価などに用いられるようになってきています。
アイトラッキングによる調査では、Webサイトを閲覧するユーザーの視線がどこに向けられていたか、どのポイントをどのくらいの時間、注視していたかを測定しますので、ユーザーインタビューやアクセスログ解析では抽出できないWebサイトの問題点を抽出することが可能になるという利点があります。
アイトラッキングで見るWebサイト閲覧の傾向
では、アイトラッキングを使った調査でみられた傾向をいくつかご紹介しておきましょう。
- 1.グリッドベースレイアウトは視線の動きに大きく影響する
- 人の目って意外に素直な動きをするんだなと思ったのがこの傾向です。Webサイトのレイアウトデザインではグリッドベースでエリアを区切ったレイアウトをすることがほとんどです。アイトラッキング調査を行なうと、このグリッドベースレイアウトがユーザーの視線の動きに大きく影響していることがわかります。 例えば、ニュースサイトの場合、記事が掲載された本文エリアとは別に、関連する記事やバナー広告、人気のある記事のランキングが掲載されたエリアが画面のサイドに設けられていることがあります。サイト運営者や設計者の立場からすると、記事を読んでいる際にちらっとでも見てくれることを期待して、そうしたレイアウトを採用していると思います。 しかし、実際、アイトラッキング調査を行なってみると、ユーザーに「気になる記事を読んでみてください」というタスクを与えた場合、記事が掲載された本文のエリアから視線が離れてサイドのエリアを見ることはまったくないのです。すこしくらいはよそ見をするのではと考えがちですが、そうしたことはほとんどありません。それはグリッドレイアウトの境界が明確な場合でも、線や面を使った明確な区切りがない場合でも同じです。