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このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2005年09月20日

戦略の本質とリーダーシップの本質

マーケティングユニット 棚橋

いま『戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ』(野中郁次郎ほか著、日本経済新聞社刊)という本を読んでいます。
「勝利を導き出す戦略に共通性はありうるのか」を問題意識として持ち、「戦略の本質が最も顕在化するのは逆転現象ではないか」という仮説をもとに、戦史の事例として、毛沢東の反「包囲討伐」戦、バトル・オブ・ブリテン、スターリングラードの戦い、朝鮮戦争、第四次中東戦争、ベトナム戦争の20世紀に起こった6つの戦争を考察を通じて、戦略の本質を突き詰めようと試みられた内容となっています。

著書らはこうした戦史における逆転を可能にした戦略を考察することで、軍事の領域を超えて、一般的にも適用されるようになった(「主体と主体の相互作用によって構成される社会現象のすべてをカバーしている」)戦略の本質を洞察するとともに、「戦略を左右し、逆転を生み出す鍵はリーダーの信念や資質にあるのではないか」という仮説に基づき、リーダーシップの本質の洞察を試みています。

著者らは、社会現象ともなった戦略現象を「主体間の相互行為(作用)の因果連鎖として展開する」ものとして捉えています。
その上で、
「主体の主体たるゆえんは、その行為の意図性、目的性にある。戦略性、つまり戦略的であるということは、相手の出方に応じてこちらの出方を変えることであり、こちらの出方に応じて相手の出方が変わることである。主体としての自分の行為が、自分以外の主体の行為と相互作用を営むことを意味する」
と論じています。

つまり、戦略的であるためには、単に自分の側からのみ勝つための(あるいは負けないための、ようするに行為の意図、目的達成のための)方向性や手段を論じるだけではダメで、実際の戦術の実行、施策の実行を通じて反作用と現れる対象(戦争においてであれば敵、マーケティングにおいてであれば市場、ターゲット顧客)の出方も視野に入れつつ、行為の意図、目的達成のための戦術の方向性や手段をコントロールする必要があるということです。

当然、戦略をそのようなものとして捉えれば、そこに理想主義とリアリズムといった相矛盾する2つを同時に達成することが可能な強力なリーダーシップが必要になるのは、まったく自然なことだと言えるでしょう。
単に、自分の側からの理想だけを追いかけても成果は上げられないでしょうし、逆に、目の前の現実に対する対応に右往左往させられていたのでは目指す目標を達成することはいつまでたってもできません。
目的達成のためには、常に「現状の事実」と「本来あるべき姿」のギャップを本質的な目で見て取り、そのギャップを埋めるための戦略を、自分たちの側とは別の主体性をもった対象との相互作用の中でコントロール、実行していける、リーダーシップが不可欠なはずです。

とはいえ、すべてをリーダーが行えばいいというわけではありません。
バトル・オブ・ブリテンの考察でイギリスに勝利をもたらした要因として、著者らは「最初に指摘されるべきは、政軍指導者のリーダーシップである」とし、「政治ではウィンストン・チャーチル、軍事ではヒュー・ダウディングの指導性が特筆に価しよう」と記しています。
国家戦争という政治目的と軍事目的が相互に深く関係する場面で、チャーチルが軍事戦略においてはダウディングに明確な権限委譲を行いながら、政治的な意味では敗北感に打ちひしがれかねない陰鬱な状況下で、きっちりとイギリス国民の士気を鼓舞する行動を行うという、国家戦略-軍事戦略の連動とそれぞれの役割の明確化によって、逆転勝利を導いたように、リーダーは自分の果たすべき役割を明確化した上で、それ以外の役割はより適性の高い幹部に権限を譲渡することも重要でしょう。

著者らは戦略には5つのレベルがあるとし、それを下記のように分類しています。

各レベルの戦略は、個別に目標と課題を持ちながら、相互に関係するものとして捉えられます。
作戦戦略レベルでの勝利が大戦略レベルでの国家間の優位性をもたらすなどという形で5つのレベルの戦略は相互関係性をもちます。

同じことは、Webマーケティング戦略の実行にもいえるはずです。
Webマーケティング戦略は、企業戦略-事業戦略(マーケティング戦略)の下に位置するものです(参考:インターネット戦略のポジションはどこに存在するか?

当然、それぞれの戦略に権限・責任をもつリーダーがいなければ期待する成果は得られませんし、各階層の戦略あるいは戦略の方向性の制約条件としての目的が、階層相互に連動していなければ、全体としての戦略はうまく機能しないはずです。
こうしたことを理解しないまま、単にWebマーケティングの実行のみをアウトソースしてしまうと、コストばかりが増えて、成果は得られないという事態が往々にして起こりえます。

戦略とは、目的と実行手段をつなぐ架け橋です。
Webマーケティング戦略とは、その意味で、企業のマーケティング目的と、Webマーケティングにおける具体的な手段としてのSEO対策、リスティング広告、アフィリエイト、Webサイトやメールマガジンを使った継続的なユーザー・コミュニケーションをつなぐ唯一の方法です。
マーケティング目的が明確でなければ、どんな手段も有効には機能しませんし、どんなにSEO対策やWebコミュニケーションに精通していても、そもそもの企業の目的に対する理解力に欠けては、やはりうまくいきません。
Webマーケティング1つのポイントは、こうした企業側の目的とWebマーケティング施策実行のプロをつなぐ明確な戦略の有無とその実行を導く強力なリーダーシップだといえます。

もはや、これまでとは比べ物にならない数の企業がWebマーケティングに力を入れてきています。
当然、市場における競争も激しくなってきています。
ただ、ひたすらコストをかけて物量のみで、この厳しい競争を勝ち抜くのはますます難しくなってきています。
こうした厳しい競争環境下で、逆転を導き出す戦略の基本は、敵の強みを弱みにできるような自分たちが得意な場面を自ら創出することにあります(参考:ランチェスターの法則)。
これからのWebマーケティングにおいては、単に施策の内容のみを単独で議論するのではなく、より戦略的な視点をきちんと持ち、より本質的な部分でその実施の方向性を議論する重要性が増すのではないかと思います。

さて、次回はアートの力と題してお送りします。

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概要:戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップposted with amazlet
ウェブログ:未来の成功のためのレッスン
時刻:2005年11月05日 17:08

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