このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年10月28日
トレンド分析（グラフ力を鍛える）
マーケティングユニット 棚橋
問題発見、解決のための分析手法の１つに、トレンド分析があります。
トレンド分析とは、あるパラメータにおける過去からの時間的な変化を長期トレンドとして示したグラフの傾きや変曲点に着目することで、その変化の原因となる事象、構造変化を推測する分析手法です。
トレンド分析に使うグラフは、折れ線グラフが一般的です。
トレンド分析を行う際は、単に数字をグラフ化するだけでなく、変化の傾きや傾きの変化の割合などの特徴的な変化を、何故、そのような変化が起きているのかを深く洞察することが目的です。
前回は、「意図と分析」と題して、問題発見・解決のための分析を行う際には、まず自分たち（あるいは業務を委託されているクライアント）がどこに向かおうとしているのかという意図を分析の出発点にすることが必要であることについて触れました。
その際、意図がより具体的になっていれば、問題発見のための分析もより適切な形で行なえるという点にも触れました。
意図を具体的にする方法の１つに、具体的な達成目標を数値化するということがあると思います。
こうした数値目標が明確になっている際には、トレンド分析は非常に有効な分析手段となります。
トレンド分析が有効なのは、数値という誰にでもわかりやすい事実を、さらに目にもわかりやすいグラフという形で表現しなおすことで、時間軸の拡がりにおける構造変化が起きているポイントを確実に捉えることができるという点においてです。
その意味では、いかに一目でわかりやすく変化のポイントを捉えられるグラフを描けるかは、トレンド分析を行うには欠かせないテクニックとなります。
もちろん、グラフはExcelなどの表計算ソフトがあれば誰でも描けます。
また、アクセスログ解析ツールなども、訪問数やページビュー数などの数値を単に表のみで示すのではなく、グラフによって示してくれます。
しかし、こうしたグラフが必ずしもトレンド分析に向いたグラフとなっているかは、別問題です。
グラフは、軸の最大値/最小値の設定や、グラフの対象となる数値を何にするかによって、トレンド（時間的な変化）がわかりやすく表現される場合もあれば、そうでない場合もあります。
ですので、トレンド分析によって、時間軸における変化を確実に捉えようと思えば、Excelやアクセスログ解析ツールがデフォルトの設定で自動的に描画してくれるグラフに頼るのではなく、自分自身で軸の最大値/最小値の設定を変更したりしながら、変化が目に見えるグラフに描きなおす作業が必要だったりします。
いつの時点で変化が起きているかが捉えられれば、その時に行なったこと、起きたことを調査、分析することで、変化の要因となった問題を発見できるはずです。
「ロジックツリーとは」の回にも書きましたが、手を動かして作業を行いながら、目の前に見える形で表現してみると、問題の所在は意外に簡単に見えてきたりするものです。
問題発見や問題解決というと、一般的には頭の中だけで行うというイメージがあるかもしれませんが、意外と地道な手作業を怠らずに事実を整理できるかどうかが重要だったりするものです。
また、頭の中だけで、ああでもないこうでもないと悩むよりも、意外と手を動かして事実を整理して、目に見える形にしたほうが効率的だったりもします。
何より重要なのは、問題発見はビジネスの成果を上げるための中間点でしかないことを強く意識し、問題の発見だけで満足せずに、問題解決のためのプランの作成、実行へつなげていくことです。
そのためにも問題発見を効率化するトレンド分析などの分析手段は有効なのではないかと思います。
次回は「AIDMAの法則を活かした情報設計」と題してお送りします。
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時刻：2007年07月21日 15:49
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