このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2006年01月06日
Web2.0でWebマーケティングはどう変わる?
マーケティングユニット 棚橋
皆様、明けましておめでとうございます。
早速ですが、2006年、最初のエントリーは、「Web2.0でWebマーケティングはどう変わる?」と題し、Blogやソーシャルネットワーク、RSSやソーシャルブックマークなどの一般化によって、企業のWebマーケティングにどのような影響が起こりえるかを考えてみたいと思います。
まず、Web2.0によりWebマーケティングにどのような影響が起こりえるかを考えるにあたり、現時点までで見えているWeb2.0的なツールの概要をざっとまとめてみましょう。
- ■CGM(コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア)の台頭
- Blog:MovableTypeなど
- ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS):Mixi、Greeなど
- その他:Wikipedia(オンライン百科事典)、Flickr(写真共有サイト)など
- ■RSS/Atom Feedによるコンテンツのシンジケーション
- RSSのアグリゲート(集約):Bloglines、My Yahoo!など
- Blog検索:テクノラティ、BlogWatcher、kizasiなど
- ■ソーシャル・ブックマーク、タグ付けによるFolksonomy
- 「民族・人々(folk)」+「分類(taxonomy)」=「フォークソノミー(folksonomy)」、各ユーザーによって分類された情報を多くの人で共有化
- ソーシャル・ブックマーク・サービス:del.icio.us、はてなブックマークなど
- Folksonomyの集約による検索機能:Collaborative Rank、Winkなど
- ■シームレスなユーザーエクスペリエンスの提供
- Ajaxによるリッチなユーザーインターフェイスの実現:Googleローカル、A9.comなど
- ユーザー各々がコンテンツのリミックス(Mashup)が可能なパーソナライズ機能:Googleパーソナライズド ホーム、My Yahoo!、Windows Vistaなど
- ■ロングテールを狙ったオンライン広告
- キーワード広告:Adwords、AdSense、オーバーチュアなど
- RSS広告:RSS広告社、FeedBurner、Pheedoなど
こうしたツールがもたらすWeb2.0的なインターネット環境では、企業側からのトップダウン的な情報や機能の提供から、ユーザーの側がボトムアップ式に情報や機能を提供するようになります。
具体的には、BlogなどのCGMを使ったユーザーからの積極的な情報発信や情報ネットワークの構築や、Yahoo!のディレクトリ検索からFolksonomyによるタグ検索への変化、専門家による評価からAmazonなどに見られるユーザー自身による評価などが挙げられるでしょう。
しかし、Blogの浸透などによって情報の発信量は自乗、べき乗というスピードで今後も増えていくのが予想されるのに対して、情報の消費量はそれほど急激には増えません。
つまりユーザーの注目(Attention)を巡る競争は、これまでとは比較にならないほど激化することが考えられるのです。
ここにWeb2.0時代におけるWebマーケティングの課題があると考えられます。
これまでであれば、SEOやリスティング広告をうまく使えばそれなりの効果は得られたかもしれません。
しかし、今後はおそらくそれだけでは苦戦することになるでしょう。
Web2.0時代の企業サイトへのアクセス経路を描くと、下図のようになるでしょう。
ここで重要な意味をもってくるのはコンテンツの内容、情報そのもののもつ価値です。
上の図の左側(「Search 検索」の側)のSEO/リスティング広告によるアクセスは、今後も企業サイトへのアクセスの大きな部分を占めるでしょう。それでも、今まで通りのアクセス数を維持するのは難しいかもしれません。
ユーザーの注目を集め、サイトへのアクセス数を維持し、向上していくためには、図の右側(「Subscribe 継続購読」の側)の流れをいかに作り出せるかが焦点となります。
ユーザーにRSSを登録してもらったり、ソーシャルブックマークに登録してもらうことで定期的な閲覧を増やすことがまず第一歩です。
当然、そのためにはコンテンツ、情報にそれだけの価値がなければならないでしょう。
また、ユーザーのRSSやソーシャルブックマークへの登録は、他のユーザーの注目を集める手段ともなります。
ここでのキーワードは「伝播」です。
文学という本来ローカルなものが翻訳という行為によって広く伝播するように、はたまた、複製技術がアートの可能性を広げたように、Web2.0時代のAttentionを巡る競争においても、いかに二次的な副産物を生み出す仕組みを動かし、伝播のスピードと範囲を広げられるかが勝負になってくるでしょう。
ソーシャルブックマークはその名のとおり共有可能なブックマークで、タグによる分類によって同じ興味をもったユーザーの検索性を高めてくれます。
また、価値ある情報はユーザーによってトラックバックされ、ユーザーの評価が加わった二次的な情報として複製され、さらにそれが他のユーザーに伝播する可能性もあります。
当然、ユーザーがBlogで公開した情報はBlog検索の対象ともなり、そこから貴社サイトへの導線が開かれる可能性も高まります。
それがユニークで、他とは圧倒的な差を生み出すような情報であれば、その価値は高まり、ユーザーを通じた伝播の可能性はより高まるはずです。
このような点を見れば、Web2.0時代においては、これまでのような小手先のSEOやリスティング広告だけではマーケティング効果を期待できないのは想像できるはずです。
これからの時代、いかにしてユニークな価値をもった情報をいかに素早く、いかに大量に発信していけるかが1つのマーケティングの争点になるのではないでしょうか?
スピードと質量がWebサイトのエネルギーを高めます。
これは物理の法則としても証明されていることです。
では、いかにスピードと質量を高める仕組みを作るか?
それに対する私たちの1つの答えが本日リリースいたしましたオンサイト サービスです。
オンサイト サービスは、Web構築/運用の専門チームが貴社に常駐することでWeb2.0時代のスピードと量が求められるWeb運用もサポート可能なサービスです。
さて、次回もこの話題の続きとして「サブスクライブ・オプティマイゼーション」と題し、継続購読者をいかに確保し、自社の情報発信を広く伝播していくかについて考えてみたいと思います。