このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年06月24日
サブドメインとSEO対策
マーケティングユニット 棚橋
サブドメインとは、ドメイン名(例えば、mitsue.co.jpなど)の1階層下にくるドメイン(例えば、marketing.mitsue.co.jp)のことです。
通常のドメインと異なり、ドメイン名割り当て機関に申請する必要がなく、サーバ管理者が設置することによって使えるようになります。
このサブドメインをうまく利用することでSEO対策の効果を高めることが可能です。
この「実践!Webマーケティング:Blog」もmarketing.mitsue.co.jpというサブドメインを使っています。このBlogと本体サイトであるwww.mitsue.co.jpで、同一のキーワードに関するGoogleでの表示順位を継続的に調べていると面白いことがわかります。
まず、このBlogで特定のキーワード(例えば「特性要因図」)の表示順位を上がることを意識した記事を書くとします。
記事をPublishして数日たつと、Googleの検索結果の1ページ目ないしは2ページ目に表示されるようになります。
しかし、それからさらに数週間たつと、表示順位が突然下がる場合があります。
100位まで探しても見つからないくらいに。
何が起こったのか? BlogでのSEO対策は効果が長続きしないのか?
そうではありません。
実はBlogでの表示順位がそのままwwwのほうに引き継がれるのです。
例えば、下の表の実例のように。
例1:キーワード=ブランド マーケティング
ドメイン | 2005/4/16 | 2005/6/11 |
marketing.mitsue.co.jp | 14位 | 100位圏外 |
www.mitsue.co.jp | 100位圏外 | 14位 |
例2:キーワード=ブランド ポジショニング
ドメイン | 2005/4/27 | 2005/6/11 |
marketing.mitsue.co.jp | 2位 | 13位 |
www.mitsue.co.jp | 45位 | 1位 |
この引き継ぎ現象はwwwのほうに、同様のキーワードを含むページが存在しなければ起こりません。
こうしたサブドメインとwwwドメイン間のgoogle表示順位の変化は、おそらく、Googleがどういう単位でサイトを1つのものと認識しているかに関わるものなのでしょう。その意味で、こうした順位変化は、サブドメインがBlogであるかないかに関わらず起こりえるものだと思います。
SEO対策というと何かと外部サイトからのリンクポピュラリティを話題にしがちです。
しかし、上に見てきたサブドメインの例をみると、コントロールの利かない外部サイトからのリンクをどう増やすかに頭を悩ませるより、はるかに現実的なコントロールが可能なサブドメインを使ったBlogサイトなどで上手にSEO効果をあげることを考えるほうが得策なのは一目瞭然です。
ようするに、
といった形で、ちゃんとしたWebサイトが作られていれば、リンクポピュラリティやそれに多くを依存するサイトランクをそれほど意識しなくても、十分に戦えるSEO対策は可能なのです。
特定キーワードの表示順位を上げることばかりを考えている方は、SEO対策とは何かをもう一度しっかり見直してみるべきです。
SEO対策とは言うまでもなく、ユーザーが必要な情報を検索エンジンを通じて探しやすくする対策です。
ユーザーが必要とする情報を発信もしていないのに、キーワードを上位表示させようと、タイトルタグやaltなどに不必要なキーワードを埋め込むのは、SEO対策を完全に誤解しています。
前回、コーポレート・レピュテーションについて取り上げましたが、企業側の一方的な論理で、サイトへの集客数を上げるためだけに、ユーザーを無視したSEO対策で無理やりサイトへの訪問を促進した場合、たとえ数字は伸びたとしても、そこで不必要な情報に出くわしたユーザーの企業評価は下がるだけです。評判には、いい評判と悪い評判があります。悪い評判を高めることのためにわざわざサイトへの集客のために、SEO対策やリスティング広告を使うのは考え直したほうがよいでしょう。
SEO対策をマーケティングに活かそうとするなら、何より先にユーザーのことを考えなくてはいけません。マーケティングにおいては、ユーザーのニーズをくみ、継続的にユーザーとのコミュニケーションを図る姿勢こそが重要だからです。
SEO対策は、そうしたユーザーとのコミュニケーションを行う上で、ユーザーが必要な時に必要な情報にアクセスできるようにするためのWebサイトの最低限のマナーです。
何より最初にユーザーとどういう関係を築きたいか、その上でどのようなユーザーコミュニケーションを行うのかを考えることが重要です。ユーザーに価値ある情報をどれだけ発信できるか。そこから考えれば、SEO対策はコミュニケーションの内容が定まった上で、ユーザーのアクセスしやすさを助けるという側面で考える程度で十分なはずです。
BlogはSEO対策に有利だといわれます。
しかし、それが本当に意味するところは、Blogがユーザーとのコミュニケーションを大事にできるツールだからなのではないでしょうか?
Blogの導入をお考えの方は、是非お問い合わせページよりお問い合わせください。
さて、次回は、Blogとも関係の深いRSS活用によるコーポレート・コミュニケーションのインテグレーションについて取り上げてみたいと思います。
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コメント
いつも楽しく拝見させていただいております。
今回の件と似ているのですが、サイトの第一階層に製品名を使用しているサイトも数多く見られます。これもSEO対策としては有効なのでしょうか?製品名が長い場合、紙媒体でURLを記載するには、スペースの問題で辛いときなどもありますよね。あと、覚えやすさという点でも短くてもいいのでは?とも思うのですが、いかがでしょうか。
Posted by: けんけん : 2007年04月03日 18:30
けんけんさま、コメントありがとうございます。
サブドメインに製品名を用いるということですが、そうしたケースを実際に行っていませんので、あくまで推論としてお答えいたします。
それがSEO的に有効なのは、非常に限られたケースではないかと思います。
サブドメインに入れる場合、製品名のアルファベット表記となります。ですので、アルファベット表記での検索数がある程度見込める製品認知が必要となります。
多くの場合、サブドメインに製品名を入れてSEO対策を重視するよりも、けんけんさんがおっしゃるとおり、紙媒体でのURL記述や覚えやすさを考慮して、短いURLにすることを優先したほうがよいと思います。
もちろん、これもそれぞれのケースによるとは思います。
Posted by: ミツエーリンクス : 2007年04月09日 10:22
参考になります。
サブドメインは、SEO対策上、有利になりますか?
Posted by: coolweb : 2007年11月21日 18:55
サブドメインのしがらみがあると今後アルゴリズムが変更した時にどう対処するのか迷いますね。
Posted by: Koozy : 2010年04月08日 20:29