このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年06月10日
WebマーケティングにおけるWebコンテンツの役割
マーケティングユニット 棚橋
Webサイトにとって忘れてはならない重要な要素がコンテンツです。
結論を先にいうと、前提条件としてWebサイトの作りがよければ、あとはWebマーケティングの成否を左右するのがWebコンテンツだといえます。
どんなにWebサイトの作り(ユーザビリティやアクセシビリティ、SEO対策、Web標準準拠、etc.)がよくても、肝心の中身のコンテンツが充実していなければ、ユーザーを満足させることはできません。サイトの作りをよくするのがユーザーの不満足を削減するための必要条件だとしたら、ユーザーの必要とする情報を伝えるコンテンツを充実させることはユーザー満足度向上のための十分条件といえるでしょう。
よくできたWebサイト上で見込み客を含む顧客との関係性を改善することを考えるなら、企業側の論理だけで出したい情報だけを掲載するのではなく、ユーザーをもてなし、ユーザーの問題解決を手助けするような情報提供により、ユーザーの満足を高めることも重要でしょう。
Webサイトをマーケティングツールとしてとらえる時、Webコンテンツはまさにお客さまをもてなす営業マン、店員です。
その営業マン、店員がこちらの要望や事情に興味も示さずに、売りたい商品の話ばかりしてたらどうでしょう?
会社がお客さまや社会のためにどんな取り組みをしているか、どんな人がサービス提供をしてくれるのかも知っておきたいのではないでしょうか?
商品に関しても、こちらの質問にも丁寧に答えてくれたり、どんな用途で使え、具体的にどんなメリットがあるかとか、実際にどんな人が使っているかなどの情報も欲しいのではないでしょうか?
あるいは、それがレストランなどであれば、訪れるたびに旬の食材を使った料理が用意され、それを丁寧にすすめられたり、何気ない気配りのきいたサービスを受けたりすれば、また来たいと思うのではないでしょうか?
Webコンテンツの役割も同じです。
商品のカタログ的な説明をしているだけでは、お客さまの満足は得られません。
お客さまや社会に対する会社の取り組みを伝えるコンテンツ、サービス提供に関わるスタッフのパーソナリティが伝わるコラムやBlog、商品に関するよくある質問や活用例、利用しているお客さまの声などのコンテンツがお客さまの興味をひき、信頼を得るためには必要でしょうし、また、継続的にお客さまとのコミュニケーションをはかり、満足、信頼を高めることを考えれば、いつ来ても興味をひく新しい情報が発信されているようなコンテンツの更新頻度も必要です。
繰り返しになりますが、Webコンテンツはお客さまとの有効な関係を築く営業マンや店員と同じです。
お客さまの声に耳を傾け、お客さまが必要としていることを話してあげる役割をもっています。さらに、その話はお客さまの必要を満たすだけでなく、わかりやすさも重要ですし、楽しさや親しみなど感情的な面でも満足を与えることも必要でしょう。
Webマーケティングを考えるならWebサイトは売り場ととらえたらよいでしょう。
以前、「売れるお店とWebサイト、そして、ブランディング」でも書きましたが、流行るお店の条件としては、下記のような要件があるのではないかと思います。
とはいえ、売り場はどんなに店の内装や商品がよくても、立地などアクセスしやすい環境、手段が整っていても、そこにお客さまとの必要で、かつ、感情的な興奮も与えるようなコミュニケーションを満たしてくれるような親切で信頼できる店員がいなければ、そこで買い物を楽しみたくなるような売り場にはならないでしょう。
Webサイトもそれとまったく同じです。
Webサイトは無人の自動販売機ではなく、人の温かみも伝わるようなコミュニケーションの場でなければ、そこからユーザーの購買アクション、商談のはじまりを期待するのは難しいはずです。
最近、何かとBlogが話題になっていますが、Blogも基本的にはユーザーとのコミュニケーションを図るツールです。肝心なのは、Blogを使うか、通常のHTMLでコンテンツを作るかということ以上に、どういうコミュニケーションを、どの程度の頻度でユーザーに対して行っていけるかだと思います。
「そうはいってもなかなか文章が書けない」とおっしゃる方も数多くいらっしゃるでしょう。しかし、それは営業マンや店員がお客さまに話ができないと言っているのといっしょです。営業マンだけがお客さまに対してコミュニケーションするだけでは物は売れない時代です。「売れる仕組みをつくる」マーケティングは会社全体で行うもので、その意味では全員が営業マンです。全員がお客さまの話に耳を傾け、お客さまに話し掛けようとする姿勢が重要です。「文章が書けない」といっている場合ではありません。Blogに代表されるWebコミュニケーション・ツールは、会社全体がお客さまと話ができる環境を用意してくれます。それをうまく活用できるかできないかは、優秀な営業マンがどれだけ揃っているかいないかと同じくらい、会社の売上にかかわってくることとなるでしょう。私たちがBlog活用をクライアントさまにご提案をする際にも「書く人がいない」とおっしゃられるケースがありますが、その場合の私たちのアドバイスはただ1つです。
「がんばって書いてください」です。
とはいえ、一方で、Webコミュニケーションには、第3者の視点、声も必要になるでしょう。
お客さまの声、専門家の声、パブリシティの評価なども必要になるでしょう。こうした場合には、私たちの専門の部隊が、取材・編集からライティング、ページ制作までをトータルでサポートすることも可能です。ATOM型製品ページ支援ソリューションは、製品理解を高めることを目的に、お客さま事例や開発秘話、ケーススタディなどのコンテンツの企画からライティング、ページ制作までをお手伝いするサービスとなっています。
また、Webサイトの成熟度によって必要なコンテンツも変わってきますので、現状のWebサイトの利用者状況をアクセスログ解析から診断した上で、必要なコンテンツを抽出、ご提案するWeb戦略スコープ・ソリューションもサービスとしてご用意させていただいています。
サービスについて詳しくお知りになりたい方は、是非お問い合わせページよりお気軽にお問い合わせください。
ここまでご説明してきたとおり、Webサイトを最終的にマーケティング・ツールとして活かせるかどうかは、コンテンツ内容に拠るところがますます大きくなってきています。いま、市場における競争優位性を構築することを考えていらっしゃるなら、ぜひ、この機会に貴社Webサイトのコンテンツ内容の見直しをおすすめします。私たちもぜひご相談にのらせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
次回は、こうしたWebコンテンツの運用を効果的にWebマーケティングにつなげるために重要な役割をもつ編集会議を取り上げたいと思います。