このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年11月15日
パーソン・スペシフィック(人材次第)
マーケティングユニット 棚橋
前回は「企業の魂、情熱、想い」と題して、ブランドには魂のこもった熱い情熱が必要であると書きました。
また、ブランドの魂は、Webブランディングを考える上でも重要で、企業の縮図、企業を映し出す鏡とも言われる企業サイトに、企業の(ブランドの)魂が込められて(表現されて)いなかったら、誰もWebサイトを通じて企業の想いに触れることはできない点についても考えました。
そんなことを書きながら、ふと思ったのは、これは個人についても同じだろうということです。
ひとりひとりの人間にもやはりブランドがあるはずです。
個人個人のブランドを考える上でもやはり、前回、前々回に紹介したあの3つの問い、
を考えることが重要なはずです。
そして、また、上記の3つの問いにどれだけ情熱的に答えられるか、また、それをまわりからも認められるような行動として示せるかが、その人のブランドを左右することになるでしょう。
このあたりが自分自身の中でブレてきてしまったり、一度築いた関係性に油断してしまうと、それまで築いた自分ブランドがいつの間にか価値を失っていたなんてことも起こるかもしれません。
油断大敵です。
さて、そんなことを考えさせられた原因のもう1つが、最近読んだ大前研一氏の著書『ザ・プロフェッショナル』(ダイヤモンド社刊)に出てきた、「パーソン・スペシフィック」(人材次第)という言葉が印象的だったせいもあります。
一寸先が闇ともいえる変化の激しい市場環境において、成功を収めるのは、「パーソン・スペシフィック」(人材次第)で、かつ「タイミング・スペシフィック」(タイミング次第)であるという主張です。
それゆえ、他の誰かの成功の道をたどろうとしても、そこに学ぶべきヒントは見つけられることはあっても、その先に同じ成功はないと大前氏は記しています。
ようするに、先の見えない変化の激しい環境においては、答えは自分自身でしか探すしか手はないということでしょう。
なかなか厳しい話ですが、事実だろうと思います。
さて、話をブランディングに関することに戻すと、ブランドとは結局、一貫性のある情熱が生み出すものではないかと思います。
とうぜん、会社自体という抽象的なものそのものが情熱をもつわけはありませんから、組織のひとりひとりの情熱が会社の情熱になり、ブランドになるのだと思います。
また、ひとりひとりの情熱が会社そのものの情熱に、ブランドになるためには、組織の全員が同じ方向に情熱を傾けられるかも重要なのでしょう。
そんなことを考えると、Webサイトを用いたブランディングとは、いかにそうした従業員ひとりひとりの情熱を、会社全体の情熱に変換できる仕組みを組むことができるかがポイントになるのだろうと思います。
その方法の1つがBlogを用いて、社長や従業員が自らの経験から得た想いや考えを発信することだと思います。
弊社でも、「経営者の独り言」やこの「実践!Webマーケティング:Blog」をはじめ、
などのBlogによる情報発信で、お客様や従業員、採用希望者に向けたメッセージを発信し続けています。
もちろん、こうした活動が弊社のブランディングに役立っているかどうかは、ユーザーの方の判断に委ねるしかないでしょう。
それでも、お客様から「読んでますよ」と言われたりすると嬉しい気持ちになりますし、もっと読んでもらえるような内容にしなくてはと思ったりもします。
前回、前々回と「経験」というキーワードとブランドの関係について考えてきましたが、こうした双方向の「経験」こそがブランドにとっては重要なのではないかと思います。
こうした関係性が築けるのはBlogの魅力のひとつだと思いますし、こうした小さな関係性(エピソード)の積み重ねがブランドのストーリーを生み出していくのではないかと思います。
さて、次回は「ブランド愛。」と題して書いてみたいと思います。