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このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2006年04月18日

情報理論の創始者クロード・シャノンの通信モデル

マーケティングユニット 棚橋

この1ヵ月あまり、実は「書けない」病に悩んでいました。

週に2回、このBlogのエントリーを更新しておきながら、何を言っているのかとお思いになる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際のアウトプット量はそれほど変わらなくとも、私自身、「書けない」と感じていたことは確かです。

1ヵ月ほど前から地方に出向となり、「書けない」のは慣れない環境(物理的な場所、周囲を取り巻く人、それまでとは異なるタスク)のせいかと思ったりしました。ものを考えることに集中できなかったり、それまでの読書速度が維持できないことで新しい情報のinputが不足していたりといったことも、「書けない」ことの原因だろうと思って、普段、東京でやっていたように、ひとりで散歩に出かけたり、気晴らしに買い物に出かけたりと工夫してみましたが、一向に改善の兆しは見えず、この週末は結構、追い込まれた気持ちにもなりました。

■クロード・シャノンの通信モデル

焦りばかりが先にたつような憂鬱な気持ちで過ごしていたせいか、日曜の夜、ひとりでお茶をしに行き、さてお勘定してもらって帰ろうと思ったとき、財布を部屋に忘れたことに気づきました。ちょっとお茶でもと思って出たので、そのとき、持っていたのは携帯と1冊の本だけ。身分を証明するものも財布の中で、慣れない土地で自分が誰かを証明する手がかりも持ち合わせていませんでした。
お店の人に頼み込んで、携帯を人質(?)に財布をとりに行かせてもらったのですが、そのとき、ふと頭に浮かんだのが、下図のようなクロード・シャノンの通信モデルでした。

shanon

クロード・シャノン(1916-2001)は情報理論の創始者と呼ばれ、スイッチのオン、オフが記号論の真偽に対応することを示し、あらゆる論理演算がコンピュータで可能であることを証明することによって、それまでただの計算機だったコンピュータを論理演算機に変えた意味で、現在のコンピュータ科学に多大な貢献とした人で、その名は情報量の単位シャノン(=ビット)にも名をとどめているほどです。

きっとこの図が頭にふと浮かんで「あっ、これだ」と思えたのは、早く財布を取りに行かなきゃと思うことで、それまでの焦りによる不安定さを一瞬忘れられたからだったんじゃないかと思います。

■「書けない」という焦りのノイズ

さて、このシャノンの通信モデルの図を見て、以前に「特性要因図」のエントリーで紹介した、要因分析などに用いられるプロセスマップを思い浮かべた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
まさにシャノンによるこの図は情報伝達のINからOUTまでのプロセスを描いたものであり、プロセスマップそのものです。当然、OUTPUTが出ない場合の要因分析にも容易に結びつけることが可能です。

私が「書けない」病を脱せられたと思ったのも、財布を取りに足早に家に戻る際、このシャノンの図を頭に思い浮かべた瞬間でした。
ようは「書けない」(=OUTPUTが出せない)のは、プロセスのどこかに問題があるからで、1つはINPUTがうまくいっていないこと、そして、もうひとつは「書けない」という焦りがノイズとして少ないINPUTからOUTPUTを導くこともむずかしくしていたのではないかと思いました。
そして、私が「書けない」から「書けそう」へ移行するために、選んだ対策は、それまでノイズとして位置づけていた「書けない」という過剰なINPUTそのものをOUTPUTの材料にしようと思ったことでした。
そして、それを実行しているのがこのエントリーというわけです。

■情報伝達プロセスを要因分析する

気持ちがすこし楽になったあと、私は、書けなかったのは自分が出そうとするOUTPUTと現実のINPUTに気づかないうちにズレが生じていたことが原因だったんだろうと思いました。
それは当然といえば当然で、物理的に住環境が変わったことや仕事で関わる人間が社内の人から出向先の人に変わったこともありますし、何よりタスクとして求められるOUTPUTが大きく変わったにも関わらず、思考の対象そのものは以前の状態に保とうと無理していたからだったのでしょう。
簡単にいえば、環境変化に適応できず、ひとり取り残されていた状態だったといえます。
(とはいえ、書くこと以外のタスクはしっかりこなしていたのでご心配なく)

そう考えると、シャノンの情報伝達プロセス内で、最初の「情報源」から最後の「到達先」にいたるプロセスの間でどこかしら問題があれば、情報が伝達されないということがあらためて重要な問題であるように思います。
今回は"私"という1人の人間の中での情報伝達プロセスの不具合でしたが、これに類似した不具合が原因でWebマーケティングにおける情報伝達プロセスがうまくまわらないということは往々にしてあるのではないでしょうか?

■ユーザーの要求に応じてビューを生成する

前回の「インフォメーション・オリエンテッド・デザイン」では、サイト単位やhtml単位ではなく、「情報」そのものを最小単位と考えることで、ユーザーの要求(リクエスト)に応じて動的にビューを生成するようなサイト構築が今後のWeb2.0的環境においては重要になってくるのではないかと論じました。
このユーザーに応じたビューの生成という考え方は、まずOUTPUTありきで情報伝達プロセスを逆にたどれるような仕組みを必要とします。むろん、逆向きにたどるとはいっても、それを可能にするためには、あらかじめ前段階のプロセスをユーザーのリクエストに応じられるよう設計、実装しておかなければならないはずです。

例えば、こんな風に情報伝達のプロセスの各要素をとらえることができるのではないでしょうか?

このBlogでは繰り返してきたように、今後、Web上の情報は指数関数的に増加し、その膨大な情報の中から自分が必要とする情報を見つけ出すことのできるファインダビリティは、Webサイト構築においても、Webマーケティングにおいても重要な課題となってくるでしょう。
そのとき、私が陥ったような環境変化への不適応による情報伝達の不具合が起こらないよう、今一度、変化しはじめたWeb2.0的環境における情報伝達プロセスを見直してみる必要があるのかもしれません。

P.S.
もちろん、財布をとりに戻って、お茶代はしっかり払いました。

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