このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年05月27日
『法人営業「力」を鍛える』
マーケティングユニット 棚橋
マーケティング関連の本といえば、どうしても消費者向けマーケティングを扱ったものが多いのが現状です。その中で最近出た『法人営業「力」を鍛える』(今村英明著、東洋経済新報社刊)は、B2B2Cを含めたB2Bのビジネスを行っている企業のマーケティングを考える際に、非常に役立つ内容となっています。
私たち自身、法人向けにサービス提供を行うことを事業としていますので、その内容には非常に納得する部分があります。それは同時に改善していかなければならない課題としても認識でき、いかに法人向けマーケティングそのものが未発達な分野であるという感想も持ちました。
さて、カンタンな内容紹介をかねて目次を記しておきますと、
という構成になっています。
第1章では、KKD(経験、勘、度胸)依存に陥りがちな日本企業の問題点を取り上げて、科学的な視点での現状認識とマーケティング・ロジックの必要性を示しており、その後の第2章で、「科学的な視点での現状認識」のための技術を、第3章から第6章では、「マーケティング・ロジック」導入のための具体的な方法を「戦略」「顧客」「取引関係」「プライシング」の4つの切り口で紹介しています。
基本的に、この本で「マーケティング・ロジック」と呼ばれているものは、「自社のどの製品を、どの顧客に、どう売り、どのように競争相手との持続的な差別化を図り、どうやって利益をあげていくのか」という問いに対する現状認識の仕方(ものの見方)、分析の仕方(考え方)、行動の仕方を指しているといえます。
これは通常のマーケティングで言われる、市場をセグメント化した上でターゲットを選定し(「どの顧客に」)、自社あるいは製品のポジショニングを決め(「どのように競争相手との持続的な差別化を図り」)、マーケティングミックスの4Pである、製品(「どの製品を」)、価格、チャネル、プロモーション(「どう売り」)を決めていく作業とおなじことです。
ただし、消費者向けのマーケティングでは、4Pの各要素が標準化しやすいのに対して、基本的に「営業が売る」というスタイルを基本としたB2Bのマーケティングでは、製品、価格、プロモーションにバラつきが出やすく、個々の営業担当によってまったくバラバラになってしまうというケースもありえるでしょう。
本書では、こうしたB2Bのマーケティングの陥りやすい罠に対して、「チャンスマップ」、「顧客セグメンテーション」、「売上方程式」、「競合ベンチマーキング」といった科学的な視点での現状認識を行った上で、きちんとしたマーケティング戦略(「標準化」か「カタスマイセーション」か?)を策定した上で、具体的な営業戦術、マーケティング戦術を実行していく必要性を示しています。
B2B企業がWebマーケティングを考える際にも、こうした科学的な視点での現状把握とマーケティング・ロジックを明確にした上で、営業戦略と連動したWebマーケティングプランを立てることが重要です。
たとえば、営業戦略的にターゲットとしている顧客に対して、リアルな営業での訴求とWebマーケティングによる訴求が異なっていれば、顧客の側は混乱してしまう可能性もありますし、そもそものターゲットがズレてしまっていれば、Web経由での問い合わせからの受注確率も低くなってしまうはずです。
私たちがご提供しているWeb戦略スコープ・ソリューション、スパイラル ログ解析(定点観測レポート)といったサービスは、科学的な視点での現状把握と明確なマーケティング・ロジックに基づくマーケティング・プランの作成をサポートするサービスとして、お客様にご利用いただいています。
また、本日、リリースいたしました競合サイト調査 for Webマーケティングも同様に、科学的な視点での現状認識を行うための「競合ベンチマーキング」をお手伝いさせていただくサービスです。
もちろん、私たちはWeb制作を行う会社ですので、調査・分析、コンサルティングだけを行うだけで、実施については責任を持たないということはいたしません。
むしろ、Web制作サービスをご提供させていただくものとして、Webサイトがお客様のビジネスの効果を最大化できるようサポートさせていただくために、こうした調査・分析、コンサルティング系のサービスもあわせてご提供させていただき、コミュニケーションロスの少ないワン・ストップの形で、お客様のWebマーケティングをサポートさせていただいております。
調査・分析の内容に関しても、お客様の課題にあわせたカスタマイズを行っております。
専門のWebアナリスト、コンサルタントがお客様の課題、ご要望をお聞きし、調査内容をご提案いたしておりますので、ぜひ、ご安心してお問い合わせいただければと思います。
詳しくお知りになりたい方は、是非お問い合わせページよりお気軽にお問い合わせください。
次回は、コンテンツマネジメントシステム(CMS)を取り上げてみたいと思います。