このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。
2005年02月25日
ポジショニングの明確化
マーケティングユニット 棚橋
マーケティングに「ポジショニング」という用語があります。この用語は、マーケティング会社を共同経営するアル・ライズとジャック・トラウトによって広められました。「ポジショニングは製品から始まる。製品とはつまり、商品、サービス、企業、機関などで、人の場合さえある。(中略)しかし、ポジショニングは製品に対して行なうものではない。見込み客の心に対して行なうものである。つまり、見込み客の心の中に製品をポジショニングするのである」と二人は記しています。
人の心にどうポジショニングされたいか? どんな風に覚えてもらいたいか? ポジショニングを決める目的はそこにあり、それを目指して、マーケティング・コミュニケーションはデザインされます。
また、ブランド・ポジショニングにおいては、下記の4要素が重視されます。
これも基本的には同じことです。ブランドが人の心の中にどうポジショニングされるのが理想なのか。ブランドが人の心にあるポジションを得た時、そのポジションはその人にとってブランドを価値あるものとして感じさせるポジションなのか。ブランド・ポジショニングを決めることは、ブランドの価値の設計図を描くことと言えるでしょう。
では、このポジショニングは、Webマーケティングにおいてどのような意味を持つのか?
明確なポジショニングのもとに、構築/運用されていないWebサイトは、ユニークさを欠きます。また、全体的な統一を欠いてしまい、複数のコンテンツでまったく異なる性格(パーソナリティ)によるコミュニケーションが行なわれたりもします。ポジショニングが企業文化的に息づいている企業であれば、あらためてポジショニングを明確にせずとも、Webコミュニケーションでの統一感やユニークさはにじみ出るかもしれません。しかし、その場合でも、設計/制作を行なうのが、外部のWeb制作業者である場合、通常、暗黙知として社内に共有されている企業文化を外部の人間に伝えることはむずかしく、結果として、Webサイトに企業文化にもとづくポジショニングが表現されないこともあるでしょう。
その意味で、やはり、Webサイトの設計/制作に入る前に、いや、Web戦略やスコープを定めるより前に、自社(あるいはブランド)のポジショニングを明確にすることは非常に重要です。ポジショニングにもとづき、それにあった戦略、スコープを定め、Webサイトの構築や運用を行なうことで、Webサイトを通じて、自社(あるいはブランド)が何者であり、誰に対して、何を、どんな風にもたらすのかといった価値を、ブレることなく伝えられるようになります。
例えば、以前にご紹介したサーチエンジンブランディングといった手法において、どんなカテゴリーのキーワード群で検索エンジンの占拠を行ない、ブランド認知の向上を目指すかを考える際にも、自社(あるいはブランド)のポジショニングが明確であれば、それほど迷うことはありません。
何より、そうしたコミュニケーションに迷うこと自体、ポジショニングの欠如の問題だといえます。社内の人間が迷ってしまうくらいであれば、とうぜん、外から見るユーザーは迷います。顧客も、採用希望者も、投資家も、その企業が何者で、どんな価値をもたらしてくれるか、迷ってしまうはずです。
とはいえ、すぐにはポジショニングを明確にするのはむずかしい場合もあるでしょう。しかし、ポジショニングを明確にしようと試みない限り、どんなにWebサイトのリニューアルを繰り返したところで、求める効果は期待でないでしょう。
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