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このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2006年08月16日

Employee Generated Media : 2.メリットとデメリット

マーケティングユニット 棚橋

前回のエントリーでは企業のWebサイトやBlogで従業員自らが積極的に企業の現場の声を伝えていく「Employee Generated Mediaとしての企業サイト」の可能性について考えました。
今回は引き続き、従業員自らが情報の生産者となり情報を発信していくことで得られるメリットとデメリットについて考察してみようと思います。

■誰もが情報を発信しかつ共有できる時代

先日、代表の高橋もがBlogにこんなことを書いていました。

ネットの時代とは、「隠せない時代だ」と思ったのは6年前ぐらいだろうか? 世の中の多くの事象は自然にできあった事実よりも、誰かの手によって作られたイメージの方が多いのかもしれない。たぶん、昔からそうだったんだろう。違いは、昔は隠せたことも、今―ネット時代はどうも隠し通すことができない時代といえるのではないだろうか? 少なくても合意形成が非常に難しい。 一言でいえば、誰もが情報を発信しかつ共有できる時代だからだ。

隠せない時代 | 経営者の独り言 | ミツエーリンクス

確かにそうした傾向はあり、匿名性や虚偽の情報の掲載も可能なインターネット環境だからこそ、利用するユーザーは不自然さにはすくなからず敏感な反応を示しますし、企業に対してもより高い透明性を求める傾向があります。透明性の低い不自然な情報に対しては嫌悪をしめす一方で、たとえ匿名であってもその情報内容から本音を感じさせるものが読み取れれば逆に好意的に感じてもらえるといったこともあります。そして、悪い情報も良い情報もユーザー間で共有されるようになっているのが現在のインターネット環境であるといえるのではないかと思います。ソーシャルブックマークサービスのはてなブックマークでは企業の不祥事を扱ったニュースなどは[これはひどい]というタグ付けがされ共有されたりします。

このようなユーザー間の情報共有を推し進めているのは、個人が自由に情報発信のできるBlogやSNS、はてなブックマークやlivedoorクリップニフティクリップなどに代表されるソーシャルブックマークサービス、newsingECナビ人気ニュースBlogMemesなどのソーシャルニュースサイトなどのWeb2.0系のサービスだといえるでしょうか。
もちろん、インターネットの技術に長けたユーザーならこうしたサービスが登場する以前から、独自の方法で他のユーザーとの情報の共有を行っていたと思います。しかし、こうしたWeb2.0系のサービスの登場はこれまでよりもうすこし幅広いユーザー層に、より効率的に他の複数のユーザーとのあいだで情報の共有が行える機会を与えるようになっていると見ることができるでしょう。

ソーシャルブックマークサービスに関しては、livedoorやニフティなどの大手ポータルがサービスをはじめたりしていることからも徐々に幅広い層に浸透しはじめているという印象を受けます。また、ITmedia Biz.IDMarkeZine日経IT Proなどのニュース系のサイトが、記事ごとのページにはてなブックマークにブックマークができるボタンがつきはじめたことなども、ソーシャルブックマークサービスが広い層に普及しはじめ、サイトのトラフィックにも無視できない影響があることを外部のサイトも認めはじめたのではないかと考えられます。アメリカでは人気のあるソーシャルニュースサイト、Diggからのアクセスを意識した投票ボタン(“digg it”)が多くのサイトで見受けられるようになっているそうです(参考:メディア・パブ: 参加型ニュースサイト“Digg”が大手新聞社サイトを抜き去る日)。
このような最近の傾向を自社にとって影響がありそうだと見るか、そうでないと見るかは、ターゲットとしている市場によるのではないかと思います。いまのところは、普段から頻繁にインターネットを情報収集に活用しているようなユーザー層をターゲットにしている企業だったり、幅広い層に認知されている大手企業などが影響を受けやすいだろうと影響範囲を限定して考えることもできますが、全体の傾向としてより透明性の高い情報開示が企業に求められる流れはありますので、いまはまだ大丈夫と思える企業の方も意識はしておいたほうがよいのではと思います。

■EGMのメリット:1.企業イメージの向上、理解促進

さて、こうした「誰もが情報を発信しかつ共有できる時代」においては、沈黙は必ずしも金だとはいえません。企業側が沈黙することでユーザーのあいだでは情報不足による憶測が生まれてしまう場合もあるからです。なにかしらの要因で企業イメージがダウンしてしまっている時期であれば尚更でしょう。
悪いイメージが流布してしまっている時には、企業のある一面だけをみて、すべてを評価されてしまいがちです。しかし、実際には企業の内部にも従業員による多様性が存在しているはずです。外からは見えにくい企業内部の従業員の多様な思考や行動、血の通った企業のイメージをBlogなどを通じて、日々公開し続けていくことで、ユーザーの目が悪いイメージだけに集中してしまうことを避け、企業の内部ではユーザーと同じ普通の人たちが日々業務の改善に努めているのだということを理解してもらえるようになるのではないかと思います。

実際、Blogなどを利用して、そうした企業内部の従業員の顔を見えるようにすることで、企業イメージの向上に成功している例が、海外にも日本にも存在しています。
例えば、海外では、マイクロソフトがchannel 9という従業員による映像付きBlogを主体としたユーザーコミュニケーションサイトを立ち上げています。『ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち』(ロバート・スコーブル著、日経BP社刊)によれば、channel 9で現場の風景、従業員の声を伝えるようになって以来、市場から“悪の帝国”と揶揄されることもあったマイクロソフトの企業イメージにも少しずつ変化が生まれたそうです。さらには何かトラブルが起きたときでも顧客が企業を擁護してくれるような傾向が見られるようになったということです。
日本でも同じようにはてなが自社のサービスを使って、はてなスタッフ日記を綴ることで、一般のユーザーに対してだけでなく、採用希望者やメディアに対しても好印象を与えています。

■EGMのメリット:2.どんなイメージをもたれているかがわかる

情報はより多く、より価値のある情報を発信する人のところに集まってきます。検索をはじめとするファインダビリティの課題は、欲しいものを探す側の問題であると同時に、欲しい人に探してもらえる側の問題でもあります。マーケティングにおいて、ユーザーのニーズと企業側のもつシーズがマッチングしてはじめて、売れる仕組みが成り立つのと同じことです。

企業で働く従業員がBlogなどを使い、自分が仕事をする中で感じたこと、取り組んでいる課題やユーザーにも役立ちそうなちょっとしたトピックなどを肩肘張らずに情報発信することで、ユーザーの方にも気づきを与え、それがフィードバックされてくることもあるでしょう。
なかなかビジネスブログでそれが実現できているものをまだあまり見たことがありませんが、基本的にユーザー間で行われているBlog上のコミュニケーションというのは、単なる情報発信というよりは会話です。互いに考えを伝え合うコミュニケーションの中で、お互いに最初にもっていた考えがブラッシュアップされることもあります。これも継続的改善の仕組みの1つなのかなと思ったりもします。
そうした会話を通じてできたつながりは信頼や親しみという面では非常に強い力をもっています。ビジネスブログであってもそうしたユーザーのコミュニティの中に自ら飛び込んでいくことがあってもよいのではないかと感じます。その場合にはやはり企業の看板は背負いつつも一個人として話をすることが必要なのでしょう。営業マンがお客さんから「○○さんから買いたい」「○○さんがいるから御社にお願いする」と言われるのと同じように、ビジネスブログでのコミュニケーションも、従業員個々の魅力を引き出せるようなものであるほうがよいでしょう。そうしたBlogを通じたコミュニケーション、会話により、ユーザーのコミュニティから信頼を得られたり、親しみをもってもらえるようになれば、ユーザーからのフィードバックは自然と得られるようになるでしょう。

こうしたコミュニティでの評判などを確認するためには今では便利なツールがたくさん存在しています。
以下は、インターネット上のユーザーの声を収集するのに利用できるツールのうち、代表的なものをあげておきます。

trackfeed
他のサイトからリンクが張られたことをRSSで知らせてくれます。
freshfeed
キーワードが含まれたブログやニュースの新着記事をお知らせするRSSを生成するツールです。
テクノラティジャパンYahoo!ブログ検索gooブログ検索などの検索結果のRSS配信機能
多くのブログ検索では、freshfeed同様にキーワードが含まれたブログの新着記事をお知らせしてくれるRSSを生成する機能がついています。
リファラーログの確認
アクセスログ解析の参照元(どのサイトから自社サイトに訪れたか)を見ることで、どのサイトからリンクが張られ、そこにどんなコメントが書かれているかを確認できます。

■EGMのデメリット:基盤となる企業文化が浸透していない場合は逆効果になる場合も

いくら従業員によるユーザーとのコミュニケーションにメリットがあるといっても、いやいや書かされているように感じられるBlogではユーザーも読んではくれません。普通の会話でもそうだと思いますが、話す側が楽しそうに熱心に話してくれるほうが聞いているほうも会話に入り込みやすいのではないかと思います(もちろん、話し手しか興味のない話題を一方的に熱心に話されても困りますが)。仕方なく書いているという感じが伝わってきたり、内容が事務的なものになってしまったりするようであれば、逆にユーザーに悪い印象を与えてしまいかねないので、実際にBlogを書く人が自分の言葉で、自分の伝えたいことを書くように努力するのはもちろんのこと、企業側も従業員が生き生きと書けるような支援をしてあげることは必要でしょう。

そうした前提が必要になってきますので、必ずしもすべての企業で、従業員自らが情報の生産者となり情報を発信していくEmployee Generated Mediaとしての企業サイトあるいはビジネスブログという手法を採用できるわけではないと思っています。

まず、社内でさえ、従業員が自由に発言できないような雰囲気の会社ではビジネスブログなどで従業員に外部とのコミュニケーションを委ねるのはリスクのほうが高くなる可能性があります。普段、社内で口にできない不満をBlogに書いてしまうようなことも考えられるからです。かといって、Blogの内容1つ1つを上司などが検閲しているようでは、Blogのもつ生き生きとした感じが失われ、結局、外部のユーザーから見たら公式なプレスリリースなどと代わり映えのしない、当たり障りはないが個性も感じられないものと受け止められてしまうのではないかと思います。

また、そもそも社内で基盤となる企業文化の共有が行われていない場合、ブランドとしての一貫性が損なわれる場合もなくはありません。従業員個々の多様性を見せることで企業のもつ厚みを感じてもらうということと、企業内で何の共通認識ももたれていないように感じられてしまうことはまったく別のものです。従業員が同じ目標を目指し、基盤となる価値観は共有できていてはじめて、ブランドとしての一貫性を維持したまま、従業員個々の個性によって企業ブランドに厚みが加わるのではないかと思います。

最後にもう1つ。通常はBlogなどによるコミュニケーションのデメリットを思われている、ユーザーからのネガティブなフィードバックに関して。
これは確かに配慮が必要な問題ではありますが、決してBlogによるコミュニケーションのデメリットではないと思います。というのも、最初に書いたように、仮に企業側がBlogを立ち上げなくてもユーザーのBlogやSNSで悪いうわさが流れ、それがソーシャルブックマークなどで共有されれば同じことですし、そうしたユーザーの発言を無視すれば事態はかえって悪化することもあるからです。
個人的にもBlogを書いていてつくづく感じるのは、重要なのは間違えないことではなくて、間違えを指摘されたときにどれだけ素直に自分の側の非を認め、真摯に過ちに対応できるかだということです。もちろん、決して間違えてはいけないことも中にはありますが、そうではなく言い方がまずくて誤解を与えてしまった場合などは、指摘を受けてすぐに謝罪と補足の説明を別エントリーとして書くと、こちらが誤解を与えてしまったばっかりに最初は苦情を言ってきた人でも逆に感謝してくれたりします。そうした場面に接すると、Blogという実際には顔が見えない者同士のコミュニケーションであっても、結局、大事なのはそうしたちょっとした気遣いで築くことのできる信頼が何より大事なんだなと感じます。
これは企業がビジネスブログを使って行うコミュニケーションでも同じだと思います。最初から逃げ腰であれば当然ユーザーからの信頼は得られないでしょう。
間違いなどの指摘を受けたらきちんと誤解を与えた旨の謝罪と補足のコメントを書くという、普通の会話であれば当たり前のことができるかどうかで、ネガティブなフィードバックも信頼に変えていけるコミュニケーションを確立できるかのポイントではないかと思います。

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