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このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2005年05月20日

ビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)

マーケティングユニット 棚橋

ビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)とは、1990年代に元マサチューセッツ工科大学教授、マイケル・ハマー氏が提唱したコンセプトで、アメリカ企業が業務プロセスを根本からつくり直した手法として紹介した『リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新』(日本経済新聞社刊)により、日本でも一時ブームとなったマネジメント手法のひとつです。

そのコンセプトの基本にあるのは、自社の市場への価値創造、提供プロセスを、機能別に編成された縦割りの組織を、真に市場の要求に応えられる形のプロセスとして顧客単位で編成しなおすことにあります。

例えば、私たちのWeb制作の業界を例にとれば、プロデューサー、ディレクター、デザイナー、ライター、HTMLコーダー、アクセスログ解析アナリストといったスタッフを、その職種別に部門としてまとめるのではなく、顧客が要求するものをよりスムーズに提供できるよう、業務プロセスを考え直し、組織を編成するといった具合です。
単に、Webサイトの構築、リニューアルを行うことを価値として提供するなら、ディレクター、デザイナー、HTMLコーダーの最小限の編成によるプロセスがスムーズにまわれば支障はないでしょう。しかし、価値創造、提供する内容が単に「クライアントのWebサイトをつくる」ことから、「クライアントの売上向上のためにWebサイトやメールを用いたマーケティングの企画を立て実行、検証、管理を行う」ことにシフトした場合、先の最小編成ではそもそも必要なスキルを持ったリソースが確保できておらず、もちろん、業務プロセスはうまくまわりません。かといって、そこに不足しているリソースを投入すれば、それで一件落着になるかといえばそうではなく、そうした顧客要望に応えるために設計されたプロセスがなければ、各プロジェクトに参加したスタッフの属人的な能力によってプロジェクトの成否は左右されることになってしまいます。これではビジネスとは呼べません。そうした場合に、新たに直面した市場のニーズに対応すべく、組織内でビジネスプロセスのリエンジニアリングが必要になってくるというわけです。

さらに、続けて、私たちの業界を例にとっての説明を続ければ、現在の私たちの業界はまさに「つくる」ことが主目的であったWeb制作から、「顧客企業のビジネス目標を達成するためのWeb活用をサポートする」ことを主目的としたWebマーケティング制作も含めたWebコンサルティング・サービスにシフトしてきている傾向があります。私たち自身も市場のそうした要求にあわせて、組織、サービス内容をフィットさせています。私たちが「品質マネジメントシステム(ISO9001)苦情対応マネジメントシステム(ISO10002)などのマネジメントシステムを取り入れ、プロセスの標準化、管理を行い、かつ積極的にVOC(顧客の声)を捉えようと努力しているのも、こうした市場の変化、顧客の要求の変化に対応できるようにするためです。
サステナビリティ(持続可能性)は企業にとって重要な目標の1つです。市場において生き残るためには常に市場の変化に適応していかなくてはなりません。とはいえ、市場の変化に対応することは口でいうほど簡単なことではありません。なにしろ、企業という組織は変化する前の市場の要求に応えられるよう最適化されているのですから、それを別の要求に最適化した形に編成しなおすのは一筋縄ではいきません。カール・アルブレヒトとロン・ゼンケはその著書『サービス・マネジメント』(ダイヤモンド社刊)の中で、サービス・マネジメントを実現する仕組みの3要素として「戦略」「システム」「人」をあげていますが、変化する市場に適応するということは、この3つを同時に再編成するということになります。私たちはこうした市場の変化に柔軟に対応できるよう、昨年からトヨタの生産方式について学び、取り入れています(参考:コラム「トヨタのフィロソフィー」。仮に、こうした準備もなく変化する市場に対応しようと明確なプロセスが確立されないまま、お客様へのサービス提供を行おうとした場合、そこにはプロジェクト進捗の遅延、納期遅れや品質の低下などのリスクが常に伴うことになるでしょう。

ここまで私たちの業界を例に、ビジネスプロセスをきちんと設計することの重要性を述べてきましたが、当然ながらプロセスは何を提供するかによって異なります。また、そうでなければ、そもそもビジネスプロセスリエンジニアリングという考え方も生まれませんし、それを行う必要性も存在しません。
ビジネスプロセスリエンジニアリングのコンセプトにおいては、プロセスのリエンジニア作業の目的は、顧客の要求にスムーズに応えられるようプロセスを再編成することにあります。当然、それが成功すれば、新しく設計されたプロセスそのものが競合他社に対する自社の強みとも成りえます。以前、「価値基準の3つの基本戦略」の回に紹介させていただいた「卓越したオペレーション」という基本戦略のひとつもそうした形で、生産方法や販売方法のプロセスにおいて競合他社との差別化を図ることで実現可能な戦略といえます。

顧客要求にスムーズに応えられないプロセスには問題があり、それは必ずスタッフの業務負荷を不必要に増大させます。また、その影響を最終的に被るのは他でもない顧客です。
インターネットの市場はまだまだ未成熟であるがゆえの可能性をもっています。市場の要求、期待は私たちが創造、提供する価値によって、今後ますます高まるものと予想できます。そのとき、私たち自身が自分たちが何を提供しているのか、何を創造しているのかを捉え間違えると、ビジネスプロセスの部分が破綻してくるでしょう。そうした破綻を生じさせないためにも、常に私たちは市場の声、顧客の声に耳を傾けるとともに、自分たちの仕事は何かを問い正さなくてはならないのだと思います。
私たちのWebマーケティング・サービスの取り組みもそうした意味ではまだまだはじまったばかりだと思います。今後もお客様の期待に応えられるよう、サービスレベルを高めていきたいと考えております。

さて、次回は、Webマーケティング・サービス実行のためのビジネスプロセスリエンジニアリングについて参考となる雑誌編集プロダクションを取り上げてみたいと思います。

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