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このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2005年05月17日

メール・マーケティング再考

マーケティングユニット 棚橋

最近、インターネットを利用したマーケティングの話題といえば、真っ先にBlogを思い起こされる方が多いのではないでしょうか。あるいはSEOやリスティング広告によるSEMでしょうか。

でも、ちょっと昔を振り返ってみてください。
かつてはインターネット・マーケティングといえば、バナー広告とメール・マーケティングでした。
以前(「売れるお店とWebサイト、そして、ブランディング」)にも書きましたが、基本的にWebサイトはプル型のマーケティング・ツールです。SEO対策もBlogもいかにしてユーザーがサイトに来てもらえるようにするかにポイントがあります。

そんな中、メールマガジンに代表されるメール・マーケティングは、インターネット・マーケティング手法ではある種、異質なプッシュ型の手法です。同じようなプッシュ型の手法としては、最近のBlogの流行とともにRSSにもスポットが当たっており、メール・マーケティングへの注目度はますます下がっている印象を受けますが、メールマガジンの発行によるメール・マーケティングは、オンラインショッピングを行っているWebサイトではいまだに欠かすことのできないマーケティング・ツールであり、流行らなくなったという印象だけで見限ってしまうには、非常にもったいないと感じています。

また、前々回(「ワン・トゥ・ワン・マーケティング ~顧客を知る~」「カスタマー・リレーションシップのマネジメント(CRM)」「顧客育成のシナリオ」)までの流れでいえば、RSSには読んでいるユーザーを特定できないという弱点もあります。逆にいえば、メールマガジンなどによるメール・マーケティングを実施している場合でも、読んでいるユーザーを特定していないなら、それはメール・マーケティングの利点の半分しか使えていないのだといえます。

SEOの流行とともに、Webマーケティングの効果測定を行うのに、アクセスログ解析ツールを用いた分析を行うことは常識になりつつあります。弊社でも、Webマーケティングのサポートを行っているクライアントに対して、Webマーケティングの企画、実行をサポートするとともに、その効果を月次のアクセスログ解析レポートとして報告しながら、クライアントとのマーケティング施策のパフォーマンスを共有し、現状の問題点、課題を常に互いに認識できるような形をとることで迅速なコントロールが可能になるようにしています。

月次のアクセスログ解析レポートに含まれるものとしては、

などがあります。

もちろん、こうした月次のアクセスログ解析レポートによる効果測定は何を効果として求めるのかというマーケティング戦略および実行するマーケティング施策の内容によって異なる測定が求められますので、それぞれのクライアントごとにカスタマイズを行っており、単なる測定にとどまることなく、そこから導き出される分析を元に具体的な改善案を提出、月次の定例会議、編集会議で共有し、クライアントともにマーケティング・プランのコントロール、今後の施策などについて議論を重ねる材料としています。

こうしたWebサイトのアクセスログ解析を中心にした効果測定・分析に、メール・マーケティングによる効果測定・分析をつなげると、それまでWebサイト側(企業側)から見ていた分析が、個別のユーザー単位で行えるようになります。
もうすこし具体的にいうなら、それまで「問い合わせをしていた人はどのコンテンツを見ていたか」というレベルで分析していたものを、「Aさんはaというコンテンツとbというコンテンツを見て問い合わせをした」というレベルでの分析ができるようになります。
逆にいえば、あらかじめ仮説ベースで顧客育成のシナリオを作成し、それに応じたコンテンツ設計を行っていれば、その効果測定をここのユーザーベースで育成ステイタスの管理が可能となります。シナリオの中にいくつか分岐点としてのマイルストーンを設定しておけば、このステイタスにあるユーザーに対してはこのアクションA、別のステイタスにあるユーザーに対してはアクションBといった風に、育成度合いや顧客のロイヤルティに応じて異なるアクションを設定することも可能となります。

もちろん、こうしたロジックは古くからメール・マーケティングにおいては提唱されていたことです。しかし、その当時はロジックの啓蒙、メール・マーケティングのツールやメディアの販売ばかりに重点が置かれ、実際にそれをワン・トゥ・ワン・マーケティングや顧客の育成プログラムとして成果をあげるまでには至らないことが多かったように思います。
それは明らかにメール・マーケティングのツールやメディアを販売するベンダー側がその機能だけを売り、もうひとつ必要な「企画~実行~測定・分析~コントロール」のPDCAサイクルをまわす運用の仕方についてはサポートを行おうとしなかったことに問題があったのでしょうし、それを購入する企業側でもそうしたスキルをもたないまま、ベンダーのいうがままにツールやメディアの購入を行ってしまったことに要因があるといえるでしょう。

Webサイトやメールマガジンなどの「箱」をつくればOKという時代はとうに終わりました。
それはBlogやRSSなど新しい「箱」が登場したいまでもおなじです。
マーケティングの視点に立てば、「箱の中身」であるコンテンツも同時に重要ですし、「箱」と「箱の中身」の効果の測定・分析を行う「科学的な視点」も同時に必要です。さらには「箱」「箱の中身」「科学的な視点」の全体的な品質、生産力をチェック、管理するマネジメントも必要です。
いま、Webマーケティングにおいては、こうした統合的なスキルをもつWebマーケティング・インテグレータが必要とされています。つくれればOK、分析できればOK、プロジェクト・マネジメントができればOKなどという個別機能が問題ではありません。むしろ、雑誌編集プロダクションのように、毎月(あるいは毎週)決まった品質のアウトプットを出すことができ、かつ、生き残るための販売数の管理、さらにその数量を確保するための顧客視点での出版物の品質のコントロールができるといった統合的なスキルが求められる段階に入ってきています。さらにWebマーケティングにおいては、これにワン・トゥ・ワン・マーケティング的な顧客を識別した上での施策管理というスキルも求められるので、そのすべてを1つのベンダーが受け持つのはなかなか難しいことかもしれません。

しかし、逆の視点からみれば、ようやくWebマーケティングにもマス・マーケティングと肩を並べる期待が寄せられるようになってきたのだという風にも感じられます。
「Webユーザビリティに対する大きな誤解」で書いたように、「誰に売るか」をわからずに物を売っていたマス・マーケティングの時代は終わり、必要な売上を継続的にあげていくためには、企業は「誰に売るか」を把握した上で、個々の顧客に応じた販売、サービスの提供を行っていく意外ないワン・トゥ・ワン・マーケティングの時代に入っています。その中で、マス・マーケティング同様の期待がWebマーケティングに寄せられるようになったことは、よくあるマス・マーケティングVSインターネット・マーケティングといった図式で捉えるのではなく、マス・マーケティングに対するワン・トゥ・ワン・マーケティング、あるいは、より大きな視点で社会に価値を提供する責任と権利をもった企業という意味でのステークホルダー・リレーションシップ・マーケティングといった図式で捉える必要があるでしょう。

こうした視点に立ってみれば、メール・マーケティングを単にBlogやRSSに対して古いと断言してしまい、その利用を考えないなどというのは、何の根拠もないただの趣味的な発想でしかありません。そうした発想では、いくらBlogやRSSを用いたとしても、かつてメール・マーケティングを使っていたときと同等の成果しか期待できないでしょう。
逆に、そうしたツールの新旧による取捨選択ではなく、顧客への個別対応を中心としたリレーションシップ・マーケティング、CSR(企業の社会的責任)を視点の中心においたCSRマーケティングといった、より本来の目的に応じた戦略的な視点でのツール選択を行うことで、貴社のWebマーケティングの効果をより高めていくことができるはずです。

弊社では、いま、既存顧客へのクロスセル/アップセル、さらにはブランディングを目的とした、メール・マーケティングを含めたマーケティング・マネジメント・サービスの提供をはじめています。先に述べたとおり、1ベンダーがトータルでサービス提供を行うのはなかなかむずかしいことではありますが、これまでWebマーケティングにおいて培ってきたノウハウ、自社でのマネジメント・システム運用ノウハウを元に、よりサービスレベルの向上を目指していきたいと思っています。

次回は、こうした市場の期待の高まりに応えるためにも必要なビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)について書いてみたいと思います。


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