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実践!Webマーケティング:Blog

このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2006年01月31日

Blog:リテラシーを身につけるためのメディア

マーケティングユニット 棚橋

ソーシャルブックマーク」のエントリーでもご紹介しましたが、Web2.0をとても簡潔に表現したものとして、Sunのソフトウェア部門のCTOであるHal Sternによる"read-write web"があります。

当Blogでも、BlogやSNS(ソーシャルネットワークサービス)などのCGM(コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア)の普及で、これまで情報を一方的に受信するだけであった人たちが、積極的に情報を発信する側の立場になることがWeb2.0的環境の特徴だと紹介してきました(参考:「CGM時代の情報の複製と創造性(前編)」)。
この「情報を一方的に受信するだけであった人たち」の中に含まれるのは、一般的な消費者だけではなく、むしろ、当Blogで対象にしたいのは、これまで企業の中で不特定の外部の人に向けての発言権を持たなかった多くの人たちです。

従業員が積極的に外部とのコミュニケーションを行う理由は2つあります。

  1. 従業員は何より重要なリソースだから
  2. 企業にとって外部とのリレーションシップを築くことは重要な課題だから

1.に関しては、これほどITが発達した現代において、従業員をコンピュータにもできる/コンピュータのほうが得意な仕事(何かを計算/集計したり、大量のデータを分類して蓄積したり、といった情報処理)を行わせるよりも、コンピュータにはできない/人間だけができる創造的な仕事に従事させることが大事なリソースをより効果的に使うためには得策であるということです。
コンピュータではできない何より創造的な仕事といえば、他者とコミュニケーションを行いながら、その中でコミュニケーションを行う相手との間に新しいものを生み出すことだと思います。企業のミッションは何より社会的な価値をいかに生み出すかにありますから、その1つの手段として外部とのコミュニケーションの中でそれを行うことは企業にとっても必要なことではないかと思います。

これが2.に関連してくる部分です。
熾烈な競争環境にある現在の企業は、こうした外部とのコミュニケーションの中で競合他社を圧倒するような差別化された価値を生み出すことが必要になっています。
株主/投資家、採用希望者、パートナー企業と複数想定される外部のステークホルダーの中でも企業が最も重要視すべきなのは顧客であり、企業のミッションとしての「顧客の創造」がままならなければ、他のステークホルダーとの関係も良好な状態には保てないことは明らかです。

しかし、顧客も2種類存在します。現在の顧客と未来の顧客です。
現在の顧客であれば、営業マンを通じてコミュニケーションが可能です。しかし、未来の顧客とは、そうしたコミュニケーションをとるのはきわめて困難です。
では、どうやって未来の顧客とコミュニケーションするか?
その1つの回答がBlogを使ったコミュニケーションです。Blogを通じてコミュニケーションを行う中で、未来の顧客を創造することが企業のミッションを継続的に可能にするための1つの方法でしょう。

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2006年01月27日

RSS/Atom Feedを中心としたコミュニケーション

マーケティングユニット 棚橋

RSSとは、もう多くの皆さんがご存知、ご利用していただいていると思いますが、あらためて紹介すると、Webサイトの見出しや要約などのメタデータを構造化して記述するXMLベースのフォーマットで、RDF Site Summary(あるいはRich Site Summary、またはReally Simple Syndication)の略称です。
RSSのバージョンには現在、3つのバージョンがあり、RSS 0.91(または0.92)、0.9xの後継のRSS 2.0(以上は、Really Simple Syndication)、それにRSS1.0(RDF Site Summary)があります。
また、RSSと同種の技術として、Atomと呼ばれるフォーマットも存在し、これらをまとめてRSS/Atom Feedなどと呼んだりします。

さて、すでにRSS/Atom Feedを利用している多くの皆さんが、それをWebサイトやBlogの更新情報を知らせてくれるものだと理解しているのではないかと思います。
RSS/Atom Feedというとっつきにくい名前の代わりにFirefoxブラウザでは、これをライブブックマークと呼んでいます。
live_bookmark

しかし、上で紹介した説明を考えれば、RSS/Atom Feedが要約する情報は何も「更新情報」に限ったものでないことは想像いただけるのではないかと思います。
つまり、RSS/Atom Feedは、何がしかのルールに基づいて、Webサイトの要約をリスト化するものですので、単にその1つの利用例として「更新情報」の取得が行われているということなのです。

では、RSS/Atom Feedには他にどんな使い道が考えられるでしょうか?

以前のエントリーで、『美術カタログ論 記録・記憶・言説』(島本浣著、三元社刊)を紹介し、そこからWebサイトの情報設計を考えるにあたり、こんなことを書きました。

財産目録がカタログになる瞬間、そこには財産を通商する市場(例えば、オークション=競売会)=買い手の存在が想定されるわけで、中身(リスト)の記述の形式についても、内輪(財産の継承者、財産継承を管理する役人など)を意識したものから、基本的には万人を対象としたオークションでの買い手を意識したものへと変化します。

カタログと目録 ~売買の場における情報デザイン、ユーザビリティ~

つまり、単なる要約を広く一般のユーザーにも意味あるものとして享受してもらえるようにするには、何かしらの意味ある並び順などを想定することで、目録からカタログに変更することが必要なのだといえます。
RSS/Atom Feedの利用方法を考える際も、リストと呼んでしまうと単なる箇条書き的なイメージが想起されやすいので、カタログという言い方をしてみると、サイト内の情報のカタログとしては、こんな利用例が思い浮かぶのではないでしょうか?

これ以外にも五十音順やアルファベット順などの情報のリストかもありますが、さすがにそうしたものは、RSS/Atom Feedでの要約としては利用シーンがないでしょう。
ようするに、RSS/Atom Feedの利用方法を考える場合、情報のリストをどのようなルールで並べるかがポイントになるわけで、「更新情報」という更新日時(When)による並び順以外にも、5W1H(+1H)でイメージできる、理由(Why)、内容(What)、人(Who)、場所(Where)、方法(How)、価格(How much)によって、RSS/Atom FeedによるWebサイトの要約作成の妥当性を検討することができるということです。

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2006年01月24日

CGM時代の情報の複製と創造性(後編)

マーケティングユニット 棚橋

「CGM時代の情報の複製と創造性(前編)」と題した前回のエントリーでは、BlogやSNS(ソーシャルネットワークサービス)などのCGM(コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア)が広く利用されることによって、情報がユーザー間の引用、複製を通じて、これまで以上に広く、早く伝達されるようになってきたことをご紹介しました。
また、そうした複製によって、文化がそれ以前よりも広く普及していくようになる様は、Web2.0特有のものではなく、これまでも歴史上、何度か起こってきたことである点もご指摘しました。

複製可能性が高くなることで、文化がより広く伝播するようになるのは、考えてみれば、当然のことなのかもしれません。人間が使う言葉というコミュニケーションのツールそのものが、言葉そのものの複製的使用によりコミュニケーションを可能にするものなのですから。

進化生物学者のリチャード・ドーキンスは、1976年に一般向けに発表した著書『利己的な遺伝子』の中でミームという文化的複製子を提唱しました。遺伝子同様に宿主を自身の「乗り物」としながら自己複製による増殖という戦略により、種の存続を図るミームにとって、言葉は非常に優れた「乗り物」です。
同様の観点でみれば、これまで情報の受け手であったユーザーを発信者に変えたBlogは、ミームにとっての複製機会を大幅に高めた点で、これまでにない最高の「乗り物」だといえるでしょう。

しかし、一方でこんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

自社でもビジネスBlogをはじめてみたものの、訪問者数はなかなか増えないし、コメントやトラックバックもほとんどない。ホントにBlogによって、そんな情報伝達の高速化や影響範囲の拡大といったことが起こっているのかと。

そう、お考えになる企業Web担当者の方もいらっしゃるのではないかと思います。

そのようにお感じになられるのも無理ないかもしれません。
というのも、Blogを中心に作られたネットワークにも、インターネットではよく見られるようなロングテール現象が起こっているからです。
つまり、ブロガーたちのアクセスも、トラックバックもコメントも一部の有名ブロガーたちのBlogに集中している傾向が見られるのです。

そのことは、前々回、紹介したようなソーシャルブックマークdel.icio.usはてなブックマーク)で、ブックマークされる数を見てもわかりますし、BloglinesはてなRSSのような同じフィード(RSS/Atom)を登録している数がわかるサイトでのフィード登録数を見れば、すぐに確認することができます。

図にしてみると、こんなになる感じでしょうか?

blogosphere

それゆえ、CGM時代の企業にとってのWebマーケティングの1つの課題は、「いかにしてユーザーに取り上げてもらえるような情報を発信できるか(特に有名なブロガーに!)」という点にあることがわかります。
自社の発信した情報をユーザーに引用/複製してもらうメリットは、1つには「情報の影響範囲がずっと大きくなる」ということがありますし、外部リンクが増えることでSEO効果が高まることや、ユーザーの支持が得られることで情報の信頼性が向上するといったことも期待できます。

では、どういう情報がユーザーに引用してもらいやすいのでしょうか。

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2006年01月20日

CGM時代の情報の複製と創造性(前編)

マーケティングユニット 棚橋

CGM(コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア)とは、Web2.0という概念において中心的な役割の1つを担っているといえる、BlogやSNS(ソーシャルネットワークサービス)、Wikipediaなど、ユーザー主導型の情報発信メディアを総称する言葉として用いられています。
こうしたメディアの利用者は、下記のAlexaのグラフが示すように増加の一途をたどっています。

また、ビデオリサーチインタラクティブの調査では、2005年7月から12月の6ヵ月間のBlog推定訪問者数は約2155万人となったと言われます。

ここ数回のエントリーでは、Web2.0というキーワードで表現される現在そしてこれからのWeb上の環境の変化がどのような社会的な変化をもたらしうるかを見てきました。
その中でも何度か言及してきましたが、Web2.0がもたらしたインパクトの1つは、これまで情報の受信者であった人たちが発信者に変わることによる情報量の劇的な増加とその回覧速度の飛躍的な高速化です。
そして、この変化が今後のビジネス環境、社会環境に大きな影響を与えるであろうことは容易に予測できます。

ウォルト・ディズニーのマンガ『バンビ』は1942年に公開されて、ものの数年でシカ狩りに対するアメリカ人の態度を一変させた。今日、アメリカの一部ではシカが増えすぎて深刻な公衆衛生上の問題になっている。シカにつくダニが草原歩きの好きな人を噛むので、関節炎がちょっと拡大しているのだ。

ダニエル・C・デネット『自由は進化する』(NTT出版刊)

CGMの台頭はこれまで情報の受け手であったユーザーを情報の発信者へと変え、情報の発信を担っていた放送局や新聞社、雑誌社、ポータルサイトなどのメディアとの差は、絶対的ともいえる質的な差から、単なる量的なものへと変化します。
いまや個人のBlogは単に日記の域を超えて、企業が発信する情報以上の内容をともなった記事を日々発信しているものも決して少なくはありません。
当然、情報の発信者が無数に増えることで、発信される情報は時間軸とともに無限に拡大していきますし、1つの情報がBlogのトラックバックやコメント機能を通じて他の人の解釈や意見という形で複製されます。
そうした大量の情報がRSS/Atom Feedを通じ、驚くべき速度で回覧されます。

こうした変化がビジネス環境や社会にどんな影響をもたらすのでしょうか。
少なくとも何も変わらないということはないでしょう。

『バンビ』の公開が関節炎の拡大をもたらしたように、これから起こる変化は私たちの想像の範囲を超えたところで起こる可能性もあります。

ここではまず、どんな変化をもらたすのかを考える前に、今すでに起こっている変化を見ることにしましょう。
観察対象は、Web2.0的環境で情報が伝達される際にはどんな傾向があるかです。

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2006年01月17日

ソーシャルブックマーク

マーケティングユニット 棚橋

Web2.0に関する話題の中で取り上げられることの多いものの1つにソーシャルブックマークがあります。
ソーシャルブックマークとは、インターネット上で公開・共有できるWebサイトのブックマークで、代表的なものとしては以下の2つのソーシャルブックマーク・サービスが挙げられます。

ソーシャルブックマークの特徴としては、単にお気に入りのWebページをブックマークして他の人と共有できるだけでなく、タグによる分類によってブックマーク情報の検索性を高めたり、お気に入りのユーザーの最新のブックマーク情報をRSSで確認できる点が上げられます。

ユーザー自身がタグをつける(タギングする)形式の分類はフォークソノミー(Folksonomy、folks:民衆+taxonomy:分類学の合成語)と呼ばれ、現在、注目を集めています。ソーシャルブックマーク以外でも写真共有サイトのFlickrやBlog検索のテクノラティなどでもタグによる分類が使われており、ユーザーの検索性をサポートするものとして活用されています。
ユーザー自身が分類を行い、それをユーザー間で共有できるボトムアップ型の分類形式であるフォークソノミーは、Yahoo!のディレクトリに代表されるトップダウン型の分類と比較されることがあります。特定の人間がトップダウン形式で分類を行うディレクトリ検索や、ロボット型検索のようなキーワードマッチとは異なる、ユーザー自身の評価によるタギング、フォークソノミーをメタデータとして検索に用いることが期待されており、実際、すでにソーシャルブックマークのデータを利用した検索の例も見られます。
例えば、CollaborativeRankという検索エンジンでは、del.icio.usのユーザーの中でも特に評価が高いネットサーファーが見つけたページを優先的に表示するというアルゴリズムを採用していますし、はてなブックマークがA9.comOpenSeachにデータの提供を行っていたりします。

こうしたユーザー主導の分類やそれを元にしたユーザー間の情報の広がり、RSS/Atom Feedをベースとしたサイトの垣根を越えたシンジケーション(連携)が、ソーシャルブックマークをWeb2.0的なツールとして特徴付けていると言えるでしょう。

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2006年01月13日

Ajax:リッチなユーザーインターフェイスの実現

マーケティングユニット 棚橋

Ajaxとは、Asynchronous JavaScript + XMLの略称で、JavaScriptの組み込みクラスであるXMLHttpRequestを利用した非同期通信機能を使い、Webブラウザ上で既存の枠組みにとらわれない対話型のインタフェースを実現するための技術です。
2005年の2月にGoogleがマウス操作で地図が自由に上下左右に動き、拡大縮小も可能な画期的なWebアプリケーション、Googleローカルのベータ版をリリースしたことが、Ajaxが話題となるきっかけとなり、JavaScriptという昔からWebブラウザに組み込まれていた技術が、まったく新しいユーザーエクスペリエンスをもたらしたという驚きにより、Webエンジニアの間にあっという間に広がりました。

このGoogleローカルのリリースをきっかけに、Ajaxを用い、これまでにないリッチなユーザーインターフェイスを実現したサイトが海外を中心に登場するようになりました。そうしたサイトが何を目的としてAjax技術を用いているかを見ると、下記のような分類を行うことができます。

検索のサポート、検索結果のカスタマイズ
Googleサジェスト:検索キーワードを入力中に候補となるキーワードを表示し、ユーザーをサポート
ドコイク?:リクルート社の国のお店・サービス検索エンジン。Googleサジェストと同様の形で「店名」「駅名・地名」などの入力をサポート
A9.com:Amazon.comの独立部門が立ち上げた検索エンジン。検索対象を「Web」、「Books」、「Images」などから選んで検索結果のカスタマイズができる。
Googleパーソナライズドホーム:Googleでの検索履歴をはじめ、さまざまなニュースサイトからの最新記事情報、好きなサイトのRSSを自由に登録できるなどの機能をカスタマイズ可能。
retrievrFlickr上の写真をイメージ検索できるサービス。ラフスケッチを描いて欲しいイメージ絞り込んで表示させる形式。
わかりやすい画像情報や地図情報を利用した目的の情報へのナビゲーション
BOOKLOG:自分の好きな書籍やCDを選んでバーチャル本棚を作成できるサービス。書籍、CDの登録はamazonとの連携していて、アフィリエイトの利用も可能
gooタウンページ:表示された地図をマウスで動かすことで、そのエリア内の飲食店などを検索できるサービス
A9.com地図サービス:住所をもとに該当地区の通りの写真を表示する
既存のデスクトップ・アプリケーションをAjaxを使ってWebサービス化
Writely:Ajaxを使ったWeb上でのワープロソフト。
PXN8:Ajaxを使ったWeb上での画像加工サービス。

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2006年01月10日

サブスクライブ・オプティマイゼーション

マーケティングユニット 棚橋

前回の記事「Web2.0でWebマーケティングはどう変わる?」では、Web2.0時代のインターネット環境の変化によって、Webマーケティングがどのように変化するのかを考えてみました。

現在、BlogをはじめとするCGM(Consumer Generated Media)を利用してユーザーが積極的に発信することでWebページは急激に増え続けています。
総務省の発表によれば、2005年9月末の時点でBlog開設のための登録者数は473万人になったと言います。3月末の時点で335万人という発表でしたから、半年で100万人以上伸びていることになります。総務省では、2006年には621万人にまで拡大するとみているということです。
Web2.0という語を用いた議論にはいろいろありますが、Web2.0の本質的な部分には、こうしたユーザー主体の情報発信がインターネット上で大きな力を持つという点にあるのではないでしょうか。

例えば、この621万人というブログ解説登録者が1人につき週2回ずつ更新を行うと想定してみましょう。そうすると、1か月に約5千万ページ、1年もすれば6億弱のページがインターネット上に増えることになります。これはあくまで日本だけの数字です。GoogleがWebサイトで公表している検索対象のWebページはたかだか80億以上に過ぎません。それが個人のブログだけで1年間で6億ページ追加されるとなるとなると、インターネット上でいかにユーザーの注意を自社の発信する情報に惹きつけるかという競争は一層激しくなることは間違いありません。

アテンション・エコノミーという言葉も生まれていますが、1つ1つの情報に対する価値は相対的に下がり、人々のアテンションをうまく惹きつけられた情報だけが価値を持つようになるでしょう。情報量が爆発的に増え続ける一方で、人々が注意を寄せることの可能なリソースの量は限られています。ロングテール現象といえば聞こえはいいのですが、長く伸びたトカゲの尻尾的な情報にはほとんど誰も関心を寄せないということにもなりかねません。

企業のWebマーケティングを考えても、これまでのように検索エンジン頼りではユーザーの注意を惹きつけるのはむずかしくなるはずです。情報量の増加に対してユーザーが示すアテンションに限りがあるのと同様に、ユーザが自発的に行う検索の数にも限りがあるからです。ユーザーは新しい情報を見つけるのに、自分で検索キーワードを考えるよりも、手っ取り早く他人のブックマークや評価をあてにするようになるのは自然なことでしょう。
実際、すでにBlogやソーシャルネットワークなどを利用するユーザーが作るインターネット上のトラフィックは、これまでのようなポータルなどへの多極集中から、CGMやソーシャルブックマークサービス、イメージ共有サービスなどWeb2.0的なメディアなどに分散していく傾向が見て取れます。


上の2つのグラフはAlexaによるトラフィック量の比較を示すものですが、上のYahoo!、Google、MSNなどがほぼ横ばい傾向であるのに対して、下のdel.icio.usFlickrBloglinesなどのWeb2.0的サービスは右肩上がりにトラフィック量が増えているのがわかると思います。もちろん、こうしたWebサービスは米国のものですので、日本の現状がすでにそうなっているとは言い切れません。しかし、現在のWeb2.0への関心、ブログやソーシャルネットワークの利用者数の増加を考えれば、日本でもこれに追随するトラフィックの変化が見られるのもそう遠くないことが予測できます。

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2006年01月06日

Web2.0でWebマーケティングはどう変わる?

マーケティングユニット 棚橋

皆様、明けましておめでとうございます。

早速ですが、2006年、最初のエントリーは、「Web2.0でWebマーケティングはどう変わる?」と題し、Blogやソーシャルネットワーク、RSSやソーシャルブックマークなどの一般化によって、企業のWebマーケティングにどのような影響が起こりえるかを考えてみたいと思います。

まず、Web2.0によりWebマーケティングにどのような影響が起こりえるかを考えるにあたり、現時点までで見えているWeb2.0的なツールの概要をざっとまとめてみましょう。

■CGM(コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア)の台頭
Blog:MovableTypeなど
ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS):MixiGreeなど
その他:Wikipedia(オンライン百科事典)、Flickr(写真共有サイト)など
■RSS/Atom Feedによるコンテンツのシンジケーション
RSSのアグリゲート(集約):BloglinesMy Yahoo!など
Blog検索:テクノラティBlogWatcherkizasiなど
■ソーシャル・ブックマーク、タグ付けによるFolksonomy
「民族・人々(folk)」+「分類(taxonomy)」=「フォークソノミー(folksonomy)」、各ユーザーによって分類された情報を多くの人で共有化
ソーシャル・ブックマーク・サービス:del.icio.usはてなブックマークなど
Folksonomyの集約による検索機能:Collaborative RankWinkなど
■シームレスなユーザーエクスペリエンスの提供
Ajaxによるリッチなユーザーインターフェイスの実現:GoogleローカルA9.comなど
ユーザー各々がコンテンツのリミックス(Mashup)が可能なパーソナライズ機能:Googleパーソナライズド ホーム、My Yahoo!、Windows Vistaなど
■ロングテールを狙ったオンライン広告
キーワード広告:Adwords、AdSense、オーバーチュアなど
RSS広告:RSS広告社FeedBurnerPheedoなど

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