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このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2006年02月07日

Web2.0の議論で欠けているもの(中編)

マーケティングユニット 棚橋

前回のエントリーでは、現在のWeb2.0に関する議論の中で欠けていると思われるものを提示すると同時に、その欠けているものの1つとして、Web2.0時代に一般企業がWebマーケティングを考える際にどういった視点の転換が必要になってくるかを抽出しました。

抽出した戦略的なポイントは、以下の3つです。

  1. Search、Subscribe、Shareの最適化
  2. 社外向けWebのユーザーエクスペリエンス向上
  3. イントラネットの改善、社外向けWebとの連携

では、今回と次回の2回にわたり、この3つのポイントをそれぞれ詳細にみていくことにしましょう。

1.Search、Subscribe、Shareの最適化 ~ Web2.0時代のWebマーケティングの3S

前回のエントリーの下の図で「ユーザーと企業を結ぶWebサービス」として、Search、Subscribe、Shareの3つのキーワードを軸に、今後、企業がWebマーケティングを進める上で必要となるであろうツールの抽出を行いました。
こうしたツールは、Web2.0の1つの特徴である「サイトの垣根を越えたシンジケーション」を可能でするものであり、Search、Subscribe、Shareの3つのキーワードはシンジケーションのベクトルを示すものだといえます。
これをWeb2.0時代のWebマーケティングの3Sと呼ぶことにしましょう。

Webマーケティングの3Sは、ユーザーがインターネット上で自身のニーズを満たす際の行動のコンテクストを大きく3つにカテゴライズしたものだといえます。
企業側からみれば、アテンションエコノミーの時代(供給される情報量に対する需要側の不足)ユーザーのアテンション(注意)を惹きつけるために、この3Sをいかにバランスよく最適化できるかがWebマーケティングの課題となってくるでしょう。

Search(検索)
  • Web2.0の時代になっても「検索」に対する最適化がWebマーケティング上のポイントの1つであることに変わりはありません。
  • しかし「検索」そのものには変化が見られることでしょう。
  • 消費速度のはやいBlogの記事を対象にした検索では、すでにサイト間のリンク構造を評価軸の中心に据えたGoogleやYahoo!などの既存の検索エンジンが役に立たず、より用途(例えば、リアルタイムに近い形で新着順に表示など)に適したBlog検索が必要となっています。
  • 当然、こうしたユーザーの行動のコンテクストの変化に応じる形で「検索」ツールの側も変化していきます。
  • 1つは、解釈のメディアであるBlogがより発展していくにつれ、検索結果のランキング表示にもこれが加味されてくるようになり、これまでのサイト間のリンク構造のみに依存したランキング方式から、よりコンテンツ内部のコンテクストを解析したマッチングによる評価の比重が高くなっていくでしょう。
  • MicroformatsStructured Bloggingなどのセマンティックスの技術が情報側のコンテクストをより明確にすることでも、ユーザーのコンテクストと情報のコンテクストのマッチングの精度は高まります。
  • また「RSS/Atom Feedを中心としたコミュニケーション」のエントリーで紹介したような未来検索(予約検索のRSS/Atom Feedでの受信)や、後で述べるShareされたユーザー評価情報を元にした検索などもより一般化するでしょう。
  • つまり、大きく分ければ、ユーザーと情報のコンテクストを理解してマッチングさせる技術は、情報のセマンティックスの向上とユーザー行動分析を軸にしたものと、ユーザー同士が評価や履歴を共有することによる2つの方向性があるということです。
  • コンテクストマッチングの技術が高まれば、検索とレコメンデーションの境はよりあいまいになるでしょう。
Subscribe(購読登録)
  • Subscribe(購読登録)の形は、Web1.0的なメルマガ登録を主軸にした会員登録やブラウザへのサイト単位のブックマークから大きく変化します。
  • Web2.0時代においてSubscribe(購読登録)の軸となるのはRSS/Atom Feedです。
  • RSS/Atom Feedによりサイトのナビゲーション機能は外部化します。インストール型やオンライン型のRSSリーダーをはじめ、Firefoxブラウザのライブブックマーク、RSSのアグリゲート機能をもったサイトなど、これまで(メルマガなどを除けば)自社のサイト内にとどまっていたユーザー導線を簡単に外在化させることが可能になります。
  • RSS/Atom Feedをメールと比較してPush型のマーケティングツールだと位置づける人がいますが、これは大きな間違いで、RSS/Atom Feedは単にユーザーを導く導線をよりユーザーが使いやすいようにするPull型のツールであるととらえたほうがユーザー満足度の向上につながりやすく、結果的に期待する効果が得られやすいでしょう。
  • Push/Pullという関係は、先のSearchの項目で言及したアテンションエコノミーを考えるとサプライ(供給)ベース/デマンド(需要)ベースの関係に対応するのではないかと思います。ようするにアテンションエコノミー下においては、サプライベース(Push)で情報発信を行うよりもデマンドベース(Pull)で情報発信を行ったほうがアテンションを得られやすいという当然のことなのです。
  • もう1つのSubscribe(購読登録)の軸はソーシャルブックマークなどのサービスです。
  • ソーシャルブックマークの利用の特徴は、これまでのようにサイト単位でのブックマークするのではなく、更新頻度の高いBlogエントリーを記憶(記録)として残しておくために記事単位でブックマークする点です。
  • サイト単位から記事単位へ。この変化はSEOやSEMで言及されることの多いランディングページ(ドアページ)という考え方をより推し進めます。
  • すでに述べたようにRSS/Atom Feedによってナビゲーション機能は外部化/外在化されていますし、さらにいえば未来検索に代表される機能は、情報設計のあり方をサプライベース(供給側により設計されたもの)からデマンドベース(需要側の要求に応じて半自動生成されるもの)に変換します。
  • この変化(ナビゲーションの外在化、デマンドベースでの情報の半自動設計)がこれまでのユーザー導線設計やユーザビリティの考え方に大きな変更を促すことは言うまでもないでしょう。
Share(共有)
  • ソーシャルブックマークやオンライン型のRSSリーダーによって、記事やFeedの共有が容易になりました。
  • こうした共有型のWebサービスは単に情報の共有を可能にしただけでなく、何が人気の記事/Feedなのかを一目で表現してしまいます(登録しているユーザー数で)。
  • これはユーザーが記事やFeedをどう評価しているかという判断の1つの基準となり、先にSearchの項目でも指摘したように、検索結果のランキングの評価基準として取り入れることも可能でしょう(すでにはてなブックマークなどでは採用されています)。
  • また、こうした共有型のWebサービスでよく見られる、ユーザー自身による分類のためのタグ付けは、フォークソノミーという新たな分類/評価法を生み出しています。
  • 当然、こうしたフォークソノミーによる分類も、ユーザーの情報検索の際のメタ情報として利用されることになります。
  • 共有型のWebサービス以外の、ユーザー間の情報共有の形としては、BlogやSNS(ソーシャルネットワーク・サービス)での引用+リンクによるものを忘れてはいけないでしょう。
  • BlogやSNSといったメディアが一次情報の発信メディアというより、一次情報の解釈、意見を発信するメディアという性格が強いことを考えると、Webマーケティングの計画を練る際にもこうしたユーザーの解釈を介した情報の共有を無視することはできません。
  • この点に関しては、「CGM時代の情報の複製と創造性(前編)(後編)」に詳しく書きましたので、ぜひ参照いただければと思います。

さて、Search、Subscribe、Shareのそれぞれについてポイントを見てきましたが、全体としていえることは、これまで自社のWebサイトの内部で起こっていたの多くが外部化するということです。
外部化を推し進めるキーとなるのは、増え続ける情報量に対する需要側の自然の要求としてのデマンド型の情報発信へのニーズです。

compare

具体的には、RSS/Atom Feedであり、ソーシャルブックマークであり、RSSリーダーやその機能をもったブラウザやサイトです。ユーザーはこうしたツールを利用することで、企業側が設計したWebサイトの構造とは無関係に、自分が必要とする情報のモジュールだけを取得して、自分のRSSリーダーやソーシャルブックマーク・サイト上で好きなように情報を編集(設計)しなおして表示/閲覧することができるようになりました。
見方を変えれば、こうしたサイトの内部と外部の境界があいまいになる様は、「形式知化された知識のネットワーク」としてのインターネットがさらに現実化に近づいたという風にもとらえることができるでしょう。

こうしたWeb2.0的なオンデマンドでの情報発信/閲覧というユーザーの利用コンテクストを踏まえて、Web2.0時代の企業Webサイト構築の戦略モデルを、『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」』(毎日コミュニケーションズ刊)の著者としても有名なJesse James Garrettの5 Planes Modelをベースに考えてみると、下のような図が描けると思います。

Web2.0時代のツインタワー型5 Planes Model

この図が示すのは、今までであればWebサイト内で完結するよう考えられていたユーザー中心設計(User-Centerd Design)も、これからはRSS/Atom Feedによるナビゲーション機能の外部化/外在化なども考慮し、サイト内/外の両方の視点からユーザーエクスペリエンスが向上するようWebサイトを設計していく必要があるということです。

これについては、まさに最初にあげた3つのポイントのうちの「2.社外向けWebのユーザーエクスペリエンス向上」につながるところですし、情報の供給やユーザーの利用コンテクスト理解という面では、「3.イントラネットの改善、社外向けWebとの連携」にもつながってきます。

この2つのポイントについては、また次回にあらためて考えてみたいと思います。

「Web2.0の議論で欠けているもの(前編)」へ
「Web2.0の議論で欠けているもの(後編)」へ

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