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このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2005年07月05日

AIDMAの法則をベースにしたユーザー導線の設計

マーケティングユニット 棚橋

AIDMAの法則とは、アメリカのローランド・ホールが提唱した、消費者がある商品を知るところから実際に購入行動に至るまでの「消費行動」のプロセスに関する仮説です。
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の頭文字を取って、AIDMAの法則と呼ばれています。

マーケティングに関わる仕事をされている方であれば、一度は触れたことがある言葉ではないかと思います。

さて、Webマーケティングを考える際にも、AIDMAの法則をベースに必要なWebコンテンツや機能を抽出したり、ユーザー導線を設計することは、もはや一般的なことになりつつあります。
Webサイトのユーザーを「顧客」に変えるためには、単に製品に関する基本的な情報(製品概要、スペック・特長など)を提供するだけでは不十分なことは、企業Webの構築や運用に関わる人ならもはや誰でも知っていることです。
そのため、企業Web担当者は、Webサイトのリニューアルの際に、私たちのようなWeb制作会社に顧客中心・顧客視点でのコンテンツ企画やユーザー視点での導線設計を依頼することが多くなります。
弊社に限らず、たいていのWeb制作会社は当然、多くのクライアントからそうした提案依頼を受けていますので、クライアントの要望、クライアントがターゲットとする顧客層のニーズに対する仮説、クライアントと競合他社の関係や業界動向などを踏まえつつ、必要コンテンツの抽出、ユーザー導線の設計などの提案を行なっていることだと思います。

しかし、そうした形での提案を受け、設計されたはずのWebサイトが、実際、公開されてみると、期待されたユーザー行動(認知の向上、購買アクションの向上)に至らないことが少なからずあります。
アクセスログ解析の結果を見ても、決して想定したとおりのユーザーの流れが見られないといったことも往々にしてあるのではないかと思います。

さて、どうして、そんなことが起きるのでしょうか?

もちろん、うまくいかないのには理由があります。
大きな問題点は以下の3つです。

まず、最初の問題点である想定したターゲットに対する「Webサイトへの集客」と「集客したユーザーへの商品訴求・企業理解の促進」の間のギャップに関しては、Webサイトへの主要な集客手段として認知されているSEO対策やリスティング広告の使い方に関する誤解がいまだに残っていることに要因があります。
SEO対策やリスティング広告は確かに企業側にとっては、Webサイトへのアクセス数を伸ばす手段でしょう。
しかし、ユーザーにとってみれば、それは「欲しい情報を見つける」ための手段です。
この企業側とユーザー側のギャップが、そのまま、「Webサイトへの集客」と「集客したユーザーへの商品訴求・企業理解の促進」の間のギャップとなります。
いまだにSEO対策やリスティング広告でWebサイトのトップページや各製品ページにユーザーを呼び込もうとしている企業が多く見られますが、果たしてそれが「欲しい情報を見つける」というユーザーの心理を考慮していて、かつAIDMAの法則のAttention(注意)からInterest(関心)への流れを理解した上での施策となっているかは甚だ疑問です。
むしろ、企業理解や商品認知を向上するのであれば、商品そのものを紹介する前に、ユーザーの課題や悩みを解決するヒントとなるような情報コンテンツを、SEO対策やリスティング広告の入り口ページとして設ける導線を考えるほうが重要ではないかと思います。
実際、私たちがお手伝いしている基礎化粧品の販売を行っているクライアント様のWebサイトでは、ユーザーのお肌の悩みに関する情報コンテンツ群を設け、その情報群を検索エンジン経由でのWebサイトへの入り口としたことで、Webサイトへの集客を伸ばすことができ、かつ、その情報群へのアクセスをきっかけとして、リピートユーザーのアクセス数も伸ばすことに成功しています。

また、そのほかの2つの問題点、ユーザーの行動心理に配慮したAIDMAの法則に基づくユーザー導線設計があまりに単純すぎる初期仮説をベースにリニューアルのための設計を行ったのはいいが、その後の実際のユーザー行動の把握・分析(アクセスログをベースにした分析)を元にした改善の実行が計画に盛り込まれていないといった問題点に関しては、いまだに企業のWeb担当者がアクセスログ解析を元にしたユーザー行動の理解が十分できておらず、また、Webサイトのマーケティング効果を上げるためにはリニューアル構築以上に、ユーザーの行動を常に把握しながらWebコンテンツを運用していくことで継続的改善を行っていくことの重要性を十分理解していることに要因があります。

Webサイトのリニューアル構築の際には、多くの企業がAIDMAの法則などを考慮しながら、ユーザーの商品認知、興味や欲求の喚起、制約条件の解除、購買行動の促進などを行うコンテンツを準備して、それぞれのコンテンツ間のユーザー導線設計を行うことでしょう。
前回、「T字形ER手法を参考にビジネスBlogの活用を考える」と題して書きましたが、企業にとっては、それぞれresourceといえる情報コンテンツ間にユーザー導線を設計して、ユーザーのページ遷移を誘引することは、T字形ER手法的にいえば「resource 対 resource」の関係性としての対照表を描くことと同義です。
また、対照表がeventの原型ともいえるものであることを考えれば、コンテンツ間のユーザー導線設計により、ユーザーのページ遷移というアクションを喚起し、実現することはまさに企業とユーザー間のevent(購買-販売)の原型となりうるものです。

しかし、Webサイトのリニューアル時に「顧客中心・顧客視点でのコンテンツ企画やユーザー視点での導線設計」を改善ポイントとして考えているにも関わらず、実際は、アクセスログ解析を用いた十分なユーザー行動の把握もされないまま、リニューアル作業が行われれば、ごく基本的なレベルでの改善は行われても、その企業-ターゲットユーザーに見合った形での改善に関しては多くは望めないはずです。
また、たとえアクセスログ解析は行っていても、新規に追加するコンテンツに関してはそれを追加することによるユーザー行動の変化は初期仮説としてしか捉えようがないはずですが、そうした初期仮説のブラッシュアップをリニューアル後のアクセスログ解析~ユーザー導線の改善やコンテンツの見直し・追加といった形での運用による継続的な改善活動に関しては、まったく計画も実行もされないのであれば、結果は同じです。

情報化社会における企業マーケティングの課題はいかにターゲットに対するコミュニケーションを持続的に行っていくことができるかという点にあります。
ブランディングであろうと、リレーションシップ・マーケティングであろうと、直接、マーケティングには関係なさそうなCSR(企業の社会的責任)やレピュテーションであろうと、その根幹にあるのは、顧客だけではなく、すべてのステークホルダーを考慮に入れた企業対ターゲットとのコミュニケーションをいかに持続的に行い、それによって、いかにステークホルダーとの良好な関係を構築・維持していくかという点にあります。

このことを重視すれば、常にターゲットのニーズをその行動からとらえる努力を行いながら、常に効果的なコミュニケーションが行なえるよう、Webコンテンツやユーザー導線の改善を行なっていくのは、むしろ、必然的なことです。

AIDMAの法則とは、最初にも書いたとおり、消費者の消費行動プロセスに関する1つの見解です。
それは完璧な答えというよりも消費者理解のための1つの有効な視点の提示であると考えたほうがいいでしょう。
答えを求めてしまうのは思考の停止を意味します。
マーケティングにおいて、顧客を理解しようとする思考を停止してしまい、顧客のことをわかった気になってしまえば、そこですべては終わりです。

AIDMAの法則をベースにユーザー導線を考える場合でも、1つの完璧な導線設計という答えを求めて、それをリニューアル設計時に完璧に反映するというアプローチはそろそろ避けたほうが良いでしょう。
それよりも実際にWebサイトを運用していく中で、いかにユーザー導線の最適化を常に、簡単に、行うことができる仕組みを組むかを考えて、必要な時に必要な改善ができることを最初から計画しておくアプローチのほうがより重要になってくるでしょう。
実際、これまでの記事でも取り上げてきたとおり、Blogツールをうまく活用すればそうした仕組みを組むことは決してむずかしいことではありません。

次回はこの話題をもうすこし深く掘り下げて、Blogツールを活用したユーザー導線のコントロールについて取り上げてみたいと思います。

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