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このコーナーでは、企業でWebサイトの運営に携わっている方、マーケティング部門等でWebの活用法について考えておられる方向けに、Webマーケティングの実践のための手法やノウハウ、事例をご紹介していきます。市場に出回る書籍や雑誌では論じられることない、Webマーケティングの最前線に触れていただければと思います。

2005年04月08日

『インサイト』、『心脳マーケティング』

マーケティングユニット 棚橋

マーケティングの分野では、最近、マーケティングと心理学を融合した消費者行動学、消費者心理学に注目が集まっています。
そうした中、『インサイト』(桶谷功著、ダイヤモンド社刊)、『心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす』(ジェラルド・ザルトマン著、ダイヤモンド社刊)という2つのビジネス書が最近、刊行されています。
今回は、この2つの本について紹介しながら、マーケティングの基本である「顧客を捉える」方法に関する新しいアプローチについて、すこし考察してみたいと思います。

『インサイト』は、一言でいえば、消費者のココロやホンネを捉えたインサイト(コンシューマー・インサイト)に焦点をあてた本です。インサイトとは、消費者が思わず買いたくなるような「心のホット・ボタン」で、売れる商品になるか、売れない商品で終わるかを左右するポイントです。
消費者のインサイトを見つけ出す消費者行動学に基づくマーケティングの分析では、前回の記事で紹介したABC分析に代表されるような、顧客を理性的な意思決定者として捉え、科学的で統計を駆使した顧客分析を行なう従来のマーケティング分析とは180度逆のアプローチで、顧客を情緒的、感性的な生き物として捉えます。その上で消費者自身でも気づかない、意識していないような、それでも「いいな、これ」と手を伸ばしてしまうようなインサイト(「心のホット・ボタン」)を探り当てます。
本書で、著者は、インサイトの見つけ方、活かし方だけでなく、実際のマーケティング・プランに落とし込む手がかりについてもハーゲンダッツやシックの事例で紹介しています。

一方の『心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす』は、顧客(そして、マーケター)の行動における判断の構成要素を「心-脳-体-社会」のつながりによる三次元ピラミッドで捉えます。このピラミッドにおいては、外的な要因で1つの構成要素(例えば、心)が変化すれば、他の構成要素(脳、体、社会)も変化を受けると考えられています。「人間のコミュニケーションの大半(80%とも言われる)が、非言語的な手段で行なわれ」、また、「思考や感情、学習の95%は無意識の心の中で起きている」背景には、この「心-脳-体-社会」による三次元ピラミッドの存在を見て取れます。
この本でも『インサイト』同様に、顧客を理性的な生き物であると同時に、情緒的な生き物として捉えています。ただ、この本ではさらに踏み込んで、フォーカス・グループ・インタビューやアンケート調査などの一般的なマーケティング・リサーチ手法では捉えることのむずかしい顧客の理解を深める具体的な手段として、ZMET調査(ザルトマン・メタファー調査法)やレスポンス・レイテンシー調査、ニューロ・イメージング調査などの新しいリサーチ手法を紹介しています。

この2つの本で紹介されているような消費者行動学、消費者心理学といったマーケティングの試みはまだ、はじまったばかりだといえます。
しかし、インターネットにおけるBlogやソーシャル・ネットワークでのユーザー間のコミュニケーションを見ていると、単に理性的、言語的に捉えようとしたのでは捉えきれない無意識のコミュニケーションが存在する気がします。その意味でこれからのマーケティングにおいては、「無意識的な面も含めて人間を深く理解する」という姿勢が、非常に必要なのではないかと思います。ブランディングにおけるブランド・ロイヤルティ顧客生涯価値(Lifetime Value=LTV)CRM(顧客関係性の管理)などのビジネスにおけるトピックス的なキーワードを考えても、インターネットに限らず、よりネットワーク化していく社会において、リレーション=つながり自体が価値を持ち、商品選択、ブランド選択の際に重視される市場環境では、顧客自身も意識しないような"リレーション=つながり"のキーとなるのは何かを探りあてられるかどうかが、ビジネスの成否の重要なポイントとなってくるでしょう。

また、マーケティングの基本に戻る意味でも、数値で計測できるものを最終的な目標と勘違いすることをやめなくてはなりません。
アクセスログ解析におけるアクセス数、ECサイトの売上やWeb経由での問合せ件数など、数値的・定量的に表せるのは、あくまで顧客が行動した結果でしかありません。ビジネスにおける売上や利益も同様で、それはあくまでバロメータでしかありません。企業が継続的に事業活動を行ない、存続し続けるためには、顧客や社会に価値を感じてもらい、良好な関係を維持し続けることのほうが重要な目的です。

もちろん、そうした数値データは顧客の実際の行動結果であり、現在の顧客との関係を示すバロメータとして把握しておくとは今後も重要です。ただ、同時に、顧客満足度を高めるため、顧客の心をより深く知ることはそれ以上に重要になってくるということです。ですので、こうした変化は決して論理的思考を否定するものではありません。むしろ、顧客を知るためにはこれまで以上に、論理的アプローチが必要になるということを意味しています。
これまで顧客を独断的に(つまりは非-科学的に)論理的な判断者としてとらえ、科学的、論理的手法を無条件に(つまりは非-論理的に)適用してきたのだとすれば、今後は顧客という決して論理的であるばかりではない対象の感性的、情緒的な面も十分考慮しながら、顧客に近づくためには、どのようなアプローチをしなくてはならないかをより論理的に考えることが必要になってくるということです。

こうした論理的、科学的アプローチによって、結果(=バロメーター。売上、利益 etc.)オーライではなく、体質(=企業の基本姿勢の徹底。市場、顧客からの支持、顧客満足度 etc.)を重視した全体最適のしくみをいかに構築できるかどうかが、今後、企業が社会においてサバイバルできるかの重要なキーとなってくるでしょう。
Webマーケティングを考え、実行する際においても、KKD(経験、勘、度胸)だけに頼らず、論理的、科学的なアプローチにより顧客をとらえ、企業の全体のしくみにおいて最適化に有効な手段として、Webサイト、メールマガジン、Blog、SEO対策、リスティング広告などといったものをいかに利用していくかを計画、実行していく必要があるでしょう。

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